第114話 空路を作ろう。
相当量の金鉱脈が見つかったと知ったリュフトヒェンの動きは速かった。
まずは、セレスティーナに対して指示を出し、必要な商品の買い占めに走る事だった。セレスティーナはさらに知り合いの商会に指示を出して、こちらに言われた荷物を輸送してくる形になっている。
安く買って高く売る。これが儲けを出す基本である。
『よし!まずは買い占めだ!金の採取道具とか買い占めるぞ!
あと食料!食料を竜都からこちらに輸送してきて!
そして、開拓村に宿泊施設を建築させるように手配して!』
『後は……。そう!ズボン!頑丈なズボンを大量生産できるように手配して!!』
「ズボン……ですか?」
そのリュフトヒェンの言葉にセレスティーナは思わず首を傾げた。
ツルハシやら食料やらは確かに納得はできるが、なぜここにいきなりスボンが出てくるのか理解できなかった。
そのセレスティーナに、リュフトヒェンは爪で地面をガリガリとズボンを書いて説明を行う。
『鉱夫は重労働だから柔らかいズボンだとすぐ擦り切れてしまう。
だから、頑丈な布地……そう、帆船の帆に使われる帆布を使用して、ポケットの両方を銅リベットで止める頑丈なズボンを作ってもらって。
ポケット端は特に擦り切れやすいから、リベットで補強しておけばそうそう擦り切れないようになる。そうすれば鉱夫が愛用する頑丈なズボンになるから。』
「了解しました。竜都と辺境拍の都市に連絡しておきますね。
まあ、やっぱり近い辺境拍の都市の方が早く生産できそうな気がしますが……。」
ともあれ、どれにしてもやはりスピード勝負である。
今は試堀という事で秘密にしてはいるが、やはり人の噂が広まるスピードは止められない。実際にもうあちらこちらに噂が流れている状況である。
それを嗅ぎつけた商人連合ももう動きを初めているらしい。
とりあえず、いずれにしても鉱夫たちを受け入れるだけのキャパと食料、道具を調達しなければならない事は事実である。
ドワーフたちは総出でリュフトヒェン領とアーテル領に宿泊施設兼給食施設を作り上げていく。いわゆる飯場施設である。
これから鉱夫たちも貴重な労働者となる存在である。
きちんとした住環境を作って長く働いてもらわなければならない。
ドワーフたちに調べてもらった所、アーテル領の川にも砂金は存在しているが、それよりも遥かに火山内部に存在する金の量が遥かに多いらしい。
そうであれば、坑道を掘る権利や鉱夫たちはアーテルが管理・占有して、川をさらって砂金を集める人々はみかじめ料だけ取って後は好きにさせればいい、という結論に至った。
『よし、後は医者と治療のできる人たちを呼び寄せよう。人が集まれば病気も集まるのは事実。治療魔術だけでは対応できない状況になるかもしれんからな。
あとは、伝染病に対する対策も何とかしたい。』
ゴールドラッシュでは、多くの者が事故、コレラ、黄熱病などで死亡していった。
鉱山なので、当然事故も起きるしそれによって死亡するものたちも多数存在するだろう。優秀な医者はいくらいても足りないぐらいだ。
セレスティーナや竜神官戦士たちも治療魔術は使用できるが、到底それでは足りないのは明らかだった。
「それでは、まず石鹸の大量生産を行うのはいかがでしょうか。
石鹸ならば、現状でもここで作ることはできますし、伝染病対策や鉱夫たちへの清潔を行う大きな力となります。」
石鹸自体は以前セレスティーナが作った応用で木の灰と脂肪、そして匂いのいい花などを組み合わせる事によって作成する事ができる。
何なら、ゴールドラッシュで大量に来るであろう女性陣の仕事にしても問題はない。
女性陣は、ルックスやスタイルのいい女性ならば偶像としての救済措置も行えるが、全ての女性を救える訳ではない。
そのため、こうした女性でも行える仕事を増やす必要がある。
『了解。そちらにもきちんと給料を支払っておくわ。けど、問題は頼んだ品が陸路だとやっぱり遅い事だよなぁ……。わざわざ我がいちいち飛んで受け取りにいくのも非合理的だし……。何かいいアイデアないかなぁ……。』
「ふむ……。それならばアーテル様のワイバーンを使用すればいいのでは?
軍事利用で人間が乗れるようになれるのなら、人間が乗れる運搬用のワイバーンを譲ってもらえれば、運搬がスムーズにいくのではないのでしょうか?」
そのセレスティーナの言葉に、おお!とリュフトヒェンは喜ぶ。
確かに時間のかかる陸路より遥かに早い空路ができれば、時間のかかっていた荷物の搬入を遥かに短縮できる。
そうなれば、人々が押し寄せてくるのに対して対策もできるというものである。
『おお!それいいね!採用!ワイバーンを利用して空路でバンバンこちらに荷物を運搬すれば他の所に先んじられるしそれでいこう!!』
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