応援団と少年

@aowo

プロローグ

球場の夏はうだるように暑い。どこまでも澄んだ青空に反比例するかのように、地上は数メートル先も歪んで見える。


その年の熱血甲子園のテーマソングが繰り返し大音量で流れる中にも、蝉の声が聞こえる。


そんな8月。


割れんばかりの球場の裏で見知った顔のメンバーが顔を合わせる。緊張と興奮をないまぜにした複雑な表情をつくる彼らに、思わず吹き出してしまいそうになる。

「団長、なんか一言」

副団長の川田が言った。

何を言うかは決まっている。俺たちはいつもこの掛け声で始めるんだ。

俺は息を大きく吸った。

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