その恋を、俺達は語らない~再会した元カノ達が俺に求めたのは『都合のいいトモダチ』だった~

月下文庫(ゲッカブンコ)

その恋を、俺達は語らない

1章 『都合のいいトモダチ』

プロローグ

 ―学校で人気の無い場所って言ったらどこを想像する?


 屋上か? それとも体育館裏か?


 あいにくと、俺の学校は生徒を危険な目に合わせないとかご高説立てて屋上は閉鎖されている。


 「本当はただ管理が面倒なだけだろ」と言いたくなるが、学校側がそう言うんだからそういうことにしておこう。


 じゃあ、体育館裏はと言うと、こっちはこっちで実は昼間にバスケットボールで遊んでいる連中やら放課後は絵を描いている奴らのたまり場になっていて、こっちも人気はバリバリにある。


 じゃあ、この学校で人気の無い場所はどこか?


 答えは簡単、俺の今向かっている空き教室だったりする。


 そして、ついでに言えば人気の無い場所に呼び出されるなんてロクなことじゃないのは予想がついていた。


 俺を呼び出してきたのは女子だし、もし相手の女子が赤の他人で俺がフリーだったら告白なんじゃないか、って泣いて喜んだかもしれない。


 でも、残念ながら今回呼び出してきた相手は俺の彼女で、そんな彼女が突然俺を呼び出してきた理由なんて想像したくもない。


 本当に順調な関係なら一緒に下校したりするわけで、わざわざ人気の無いところに呼び出したりするわけないんだから。


「ねえ、須藤くん―」

「あのさ、スド―」


 一人目は付き合って一週間、二人目は一人目と別れた後に二週間だけ付き合った。


 その間、別にデートに行ったわけでもないし、一緒に下校をしたわけでもない。手を繋ぐなんてもってのほか、付き合ってから詳しく話したことなんてあっただろうか?


 これを明確に「付き合った」って呼べるかは微妙だが、きちんと思いを伝えた上で承諾したのだから恐らく付き合っていたのだろう。


 でも、あいつらは同じような状況、同じような雰囲気で、俺にこんなことを言ってきたんだ。


「「私と別れて欲しいの」」


 ―ほら、人気の無いところに彼女から呼び出される理由なんて、やっぱりロクでもない。

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