第424話 三國家でお家デート その2
「虹心ちゃん!」
「私。市販のミルクティーが良い!!」
「……」
桃香ちゃんは笑顔と元気な声で、虹心に注文をする。
それを見ていた亜紀は『まったく…』の表情をしていた。
亜紀が注文を伝える前に、桃香ちゃんが出し抜いたから呆れているのだろう。
桃香ちゃんの言葉の後。亜紀は穏やかな表情で虹心に注文を言い始める。
「私も……桃香と同じ、市販のミルクティーにするわ!」
「今日も秋でも、秋らしくない陽気だから」
「亜紀さんと桃香ちゃんは、ミルクティーだね♪」
「兄ちゃんは…、何飲む?」
「俺も……ミルクティーで良いよ!」
「亜紀から、クッキーを貰ったし!!」
虹心は笑顔で亜紀たちの注文を聞いた後。その表情で俺にも注文を聞いてくる。
俺は和やかな表情で、虹心に注文を言う。
「兄ちゃんも、ミルクティーか!」
「なら、私もミルクティーにしよう!!♪」
「その方が楽だし♪」
「じゃあ、今からお茶の準備と、お菓子の準備もするね♪」
虹心は笑顔で言い終えると、テーブルに置いて有った、亜紀から貰ったクッキーの入ったレジ袋を手に取り、そのままリビングから出て行く。
さっき貰ったクッキーを、お茶菓子の一部として出すためだ。
『パタン!』
虹心がリビングから出て行ったのを亜紀は確認してから、困った微笑み表情で俺に話し始める。
「虹心ちゃんを見ていると……武蔵君が、虹心ちゃんの弟に見えてくるよ///」
「良い妹を持ったね。武蔵君は…」
「それは否定しないよ。亜紀…///」
「ここ最近の虹心は、母親と同等のことを平気でしているから…///」
俺は少し頬を染めて、参った表情で亜紀に話す。
亜紀は穏やかな表情に変わり、俺に言葉を続ける。
「武蔵君のところも、共働きだからね…」
「良い機会だから聞くけど、武蔵君の両親は何処に勤めているの…?」
(良い機会!?)
(親の情報を収集して、亜紀は俺の家庭状況を分析するの??)
(“も”と付けたから、亜紀の家も共働きなんだ!)
(亜紀の両親は、何処に勤めて居るのだろう?)
俺は一瞬。心の中でそんな事を感じてしまうが、俺の両親は普通の企業に勤めているので、穏やかな表情で亜紀に話し始める。
「俺の父親は大手インフラ企業に勤めていて、現在は地方へ単身赴任をしている」
「母親の方は看護師をしていて、この町のとある病院に勤めている」
「武蔵君のお父さんは……大手インフラ企業なんだ!」
「凄いね……」
亜紀の口調は落ち着いた口調であるが、表情はかなり驚いていた。
亜紀の中でも、俺の父親が勤めている企業が、日常生活に必要不可欠な企業だと理解しているからだ。
「だから虹心ちゃんは、その両親の穴を埋めようとして、このような変貌を遂げたわけか!」
「これなら納得出来るわ!!」
「~~~」
亜紀は納得した表情で呟いている。
ちなみに桃香ちゃんは、俺と亜紀の会話には参加せずにスマートフォンを眺めている。
(変貌か……けど、虹心は昔からそうだからな)
(強気な性格や態度。謎の行動力……今に始まった事ではないけどな…)
『ガチャ!』
虹心が戻って来たらしく、リビングのドアが開く。
その後直ぐに姿が消えるが、しばらくするとトレイを両手に持って、虹心がリビングに入って来る。
虹心は両手でトレイを掴んでいるので、ドアは閉めずにそのまま入って来る。
「はい。お待たせ~~♪」
「…兄ちゃん。ドア閉めといて~~♪」
虹心は笑顔で亜紀たちに向けて言いつつ、俺へ指示も出す。
俺は虹心の言葉でソファーから立ち、リビングのドアを閉めに行く。
『パタン!』
リビングのドアを閉めて俺はソファーに戻ると、虹心はテーブルでお茶の用意をしていた。
ペットボトルに入っているミルクティーを、少し氷の入った各コップに虹心は注いでいる。
『とく、とく、―――♪』
間もなく、四人でのお茶会が始まろうとしていた……
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