第338話 学園一の美少女とデート その2

 俺と陽葵先輩は特急電車に乗って、名美崎なみさきへ向かうことを決める。

 そのため、特急座席指定券を買う必要が出て来る。

 この券が無いと、特急に乗車することが出来ないからで有る。


 代表の言葉も変だが、俺が代表で座席指定券を買いに行く。

 やはり、この様な場合は後輩だろうが、男性が率先して動くべきだろう。

 俺はホーム上に有る、特急座席指定券売り場で、特急座席指定券を買う。


 ……


 スムーズに特急座席指定券は買えて、俺は陽葵先輩の元に戻る。

 陽葵先輩は学園一の美少女で有るが、今の所ナンパをされる等の行為はまだ起きていない。


 だが、遠巻きで陽葵先輩を眺めている、男性達が居るので油断は出来ない。


「陽葵先輩! 座席指定券が無事に買えました!!」

「陽葵先輩は……窓側と内側。どちらが好みですか?」


 陽葵先輩に特急座席指定券を見せながら、俺は和やかな表情で言う。

 陽葵先輩は少し迷う表情をするが、直ぐに和やかな表情で俺に言い始める。


「えっと……三國君には悪いけど、窓側を選んで良いかな…?」

「通路側より、窓側の方が落ち着くから…!」


「はい! 俺は大丈夫ですよ!!」

「では、窓側のチケットを渡します。陽葵先輩!!」


 俺は和やかな表情で言いながら、窓側になる、特急座席指定券を陽葵先輩に渡す。

 陽葵先輩はお礼を言いながら、特急座席指定券を受け取る。


「ありがとう。三國君!♪」

「座席指定券を買いに行って貰った挙げ句、私が窓側を選んでごめんね!///」


 最後の文章は、困った笑顔で言う陽葵先輩!!

 流石……心が綺麗な女性だ!!


(これが虹心だったら……『兄ちゃんが座席指定券を買ってきて、女性の私が先に選ぶのは当然!』とでも良いそうだな!!///)


 俺がそんな事を思っていると、陽葵先輩が穏やかな表情で話し掛けてくる。


「三國君…。座席指定券の料金は後で払うね!」


「あっ、はい!」

「分かりました。陽葵先輩!!」


 俺は陽葵先輩の言葉の後。理解した表情で言う。

 俺に金銭的余裕が有れば、この料金を奢ることも出来るだが、残念ながら余裕は無いので貰える物は貰っておく。


 しばらく二人でホームで待っていると、名美崎方面に向かう特急電車がホームに入ってくる。

 俺と陽葵先輩は、特急座席指定券に印字されている車両へ乗り込む。


 特急座席指定券通りの席に着席して、特急座席指定券は見えやすい場所に掲示する。

 この私鉄の場合は、それを掲示させる場所が有るので、その場所に特急座席指定券を掲示させる。


『プルルル~~~♪』


 俺たちが席に座ると同時に発車のベルが鳴って、ベルが鳴り止んでしばらくすると電車は動き出す!

 電車と同じように、陽葵先輩とのデートも本格的に動きだした!!


『ガタン、ガタン、―――♪』


「~~~♪」


 陽葵先輩は俺に話し掛けることは無く、穏やかな表情で窓から見える景色を眺めている。

 その姿は特急電車の窓に反射して、その様子が、俺が座っている場所からでも確認出来る。


(……やっぱり。陽葵先輩は美人だな~~!)

(伊藤さんや虹心とは違う、真の美人と言えば良いのだろうか?)


(伊藤さんも美人だけど……陽葵先輩と比べると、ややかすんでしまうな!)

(虹心も一応美少女だけど、虹心の場合は“わんぱく”美少女の意味合いが強いだろう!?)


『ガタン、ガタン、―――♪』


「~~~♪」


「……」


 俺は陽葵先輩の真横に居るのに、陽葵先輩に話し掛けることは無く、それを静かに眺めている!

 陽葵先輩の場合は、見ているだけでも絵に成るからだ!!


(だが……こんなチャンス。早々無い!)

(今の内に、陽葵先輩ともっと親密に成って、楽しい美術館デートに持っていかないと行けない!!)


(よし、話し掛けるぞ!!)


 俺は心の中で考えを纏めて、陽葵先輩に話し掛けようと思うが……大体のことはもう聞けてしまっている為。話題らしい物が出て来ない!?


 どんな話題でも良いから、陽葵先輩に話し掛けないと!!///

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