第312話 またもや交渉決裂!!
「……お菓子作りに興味が無い人と、仲良くなっても僕にはメリットが無い…!」
「僕は自分でお菓子を作れないから、作れる人を求めている……」
「僕はもう大人だから……先を見て、恋愛もしなければ成らない!」
「今日香ちゃん!!(怒)」
今日香ちゃんの拗ねた言葉に対して、真優美さん堪忍袋の緒が切れたようだ。
真優美さんは俺には初めて見せる、怒った表情で今日香ちゃんを怒り始める!
「今日香ちゃんは初めから、そんな気持ちで三國君に近付いたのでは無いでしょ!?」
「どうして、変な意地を張るのよ!?」
「そんな事をしても三國君は、今日香ちゃんの思い通りに成らないよ!!」
「……」
俺は、真優美さんと今日香ちゃんのやり取りを静かに見ている。
この場で俺が口を出しても、状況が悪化するだけで有る。
「三國君が良い人だからと思って、今日香ちゃんは近付いたのでしょ!」
「それとも何? 最初から、跡継ぎ捜しが目的だった訳!?」
「……そうでは無いよ。真優美さん…///」
「武蔵君は……良い人だと僕でも感じて居る!!///」
「だけど、興味がなくても武蔵君が『興味が有る!』と、僕は言って欲しかっただけ…///」
真優美さんが怒った表情で言う中。今日香ちゃんは、少し頬を染めて悲しい表情で言う。
「そんなこと言ったって、今日香ちゃん!」
「三國君だって自信が無い物を自身が有るなんて、言える訳無いじゃん!!///」
「うっ…………」
真優美さんが怒った表情で言うと、一瞬顔を引きつらせて今日香ちゃんは黙ってしまう。
本当に、俺はどうすれば良いのだ。
真優美さんは今日香ちゃんから、俺の方へ顔を向けて困った表情で話し始める。
「三國君…!」
「三國君はこれでも、今日香ちゃんと仲直りしたい?」
「どうやら今日香ちゃんは、あなたに好意が有るのでは無く、本当に跡継ぎ候補探しの為だったみたい……」
「俺は……本当に、お菓子作りには興味や自信も無いから、今日香ちゃんと将来を意識しての付き合いと成ると、諦めるしか無いですね…」
俺は悲しい表情で真優美さんに言う。
すると、真優美さんは諦めた表情で言い始める。
「これは……、私が余計なことをしなければ良かったね!」
「今日香ちゃんは三國君には謝ってくれたけど、只謝っただけ……何も問題が解決出来てない!」
「~~~///」
子どものように下を
もしかして、泣いている!?
真優美さんもそれに気付き、凄く困った表情で俺に話し始める。
「悪いけどさ……三國君!」
「これ以上の、話し合いは無理みたい…!」
「お詫びと言って何だけど、今回の飲食料金は頂かないから、これでお開きしてくれない?」
「今の今日香ちゃんを、このまま一人で帰す訳には行かないからさ…///」
「……そうですね」
「泣き顔の女の子を一人で帰らすのは、不味いですね」
「出直すと言う言葉も変ですが、お互い冷却期間が必要かも知れません…!」
「俺は将来のことを考えて、今日香ちゃんも……将来のことを考えて、また何処かで話し合いをするべきですね!」
俺は悩んだ表情で言うと、真優美さんは困った表情で言う。
「そうね…。三國君が“ひょんな”ことでお菓子作り目覚めるかも知れないし、今日香ちゃんの気も変わるかも知れない……」
「…………」
俺は残っていたアイス緑茶を一気に飲みして、どら焼きは残したままにして、真優美さんに会釈をしてから店を出る。和やかな雰囲気で店を出られないからだ。
真優美さんが申し訳ない表情をしている中、今日香ちゃんはずっと、半ベソの下を俯いたままで有った。
(今の時刻が……18時20分か)
(これは完全に交渉決裂だな……)
俺は歩きながら、スマートフォンで時刻を確認しながら思う。
(これで、今日香ちゃんとの関係もおしまいだな!)
(この時期らしく……台風な見たいな子だったな!!)
俺がパティシエへの道を目指す覚悟が無い限り、今日香ちゃんとの関係が深まることは無いだろう。
その前に、今日香ちゃんが別の人を見付けてしまえばそれまで有る。
俺に初めて出来た高等部の後輩は本当、台風のように“あっというま”に通り過ぎてしまった……
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