第295話 学園では見る初めての後輩 その2

 俺も上履きから下履きに履き替えて、昇降口から屋外へ出る。

 当然、俺より早く今日香ちゃんは昇降口から屋外に到着している。

 今日香ちゃんは笑顔で俺に言い始める。


「それで、武蔵君!!」

「何処でお話しをする?♪」


(もう、先輩では無く、君付けに成った!)

(校舎を出たから……呼び方を変えた?)

(まぁ……良いけど…)


「……校舎沿いに有る、ベンチゾーンで話そうか!」

「彼処なら近くに自動販売機も有るから、冷たい飲み物を飲みながら会話が出来るし!!」


「あぁ、ベンチゾーンね!」

「そうだね。冷たい物でも飲みながら、ベンチに座ってお話ししようか!!♪」


 俺が和やかな表情で言うと、今日香ちゃんは素直な笑顔で受け入れてくれる!!

 俺が今まで出会った女性の中では一番、純粋無垢かも知れない!?


 小鞠ちゃんも純粋らしさを感じるが、虹心の親友の為、虹心に毒されている部分が有る!?

 俺と今日香ちゃんは横並びで、先ずは自動販売機に向かう。


 まだ、親友関係なので手は繋げないが、雰囲気的にはカップルの雰囲気をかなり醸し出していた!!

 近日中に、俺は今日香ちゃんとカップルに成れてしまうか!?


 ……


「じゃあ、僕はコーラ♪」


『ガチャン♪』


 俺は宣言通り、今日香ちゃんにジュースをおごる。

 今日香ちゃんは、数ある飲み物の中でペットボトル入りのコーラを選んだ。


 俗に言う、500ml入りのペットボトルコーラで有る。

 俺は自分の分の飲み物を買いながら、今日香ちゃんに和やかな表情で話し掛ける。


「今日香ちゃんは、コーラが好きなの?」


「んっ?」

「僕は、ジュースなら何でも好きだよ!♪」

「けど、今日はコーラの気分だったから!!♪」


 子どもの様な、無邪気な笑顔で言う今日香ちゃん!!

 本当にこの子は“高等部生”かと疑いたくも成るが、年齢詐称何て出来ない筈だから、高等部生なんだろう……

 逆に言えば、虹心が大人び過ぎているのかも知れない。


(彼奴はまだ中等部の癖に、母親がする家事などの行為を、涼しい顔をして遣っているからな!)


(小鞠ちゃんも……虹心からの影響か、背伸びをしている感が有る……)

(今日香ちゃんが、本来の年齢に相応しい姿かも知れない?)


 俺は心の中で思いながら、俺もペットボトル入りのコーラを買う。

 今日香ちゃんと同じ物を買えば、更に仲も深まると俺は思ったからだ。

 案の定、俺がコーラを買ったので、今日香ちゃんは笑顔で俺に話し掛けてくる。


「おっ! 武蔵君もコーラなんだ!♪」

「お揃いだね。武蔵君!!♪」

「僕たち、相性がバッチリかも!!!♪」


(同じ飲み物を買っただけで、これだけ“はしゃぐ”とは……けど、悪くは無いな!)


「うん。お揃いに成ったね!」

「じゃあ、日陰に成ってそうなベンチに座って、コーラを飲みながら会話を楽しもうか!!♪」


「うん、うん♪」

「涼しそうなベンチで、武蔵君とのお話しを楽しもう~~!♪」


 俺は笑顔で今日香ちゃんに言うと、今日香ちゃんも眩しい笑顔で答えてくれる!

 虹心も可愛い笑顔をするが、今日香ちゃんの場合は、心が“ほっこり”する笑顔で有る!!


 俺と今日香ちゃんは自動販売機から、日陰に成っているベンチを探し始めるが、探し始めるが直ぐに見付かったため、そのベンチに二人で座る。

 このベンチは広さが結構有るので、お互いが持っているカバンもベンチ上に置ける。


 荷物を置きおえた今日香ちゃんは早速、ペットボトルの蓋を開けて、豪快にコーラを飲み始める。

 女性らしくない飲み方で有るが、まだ今日香ちゃんはこの辺りを気にしていないのだろう?


「ぷはぁ~~!」

「暑い中で飲む、コーラは最高だね~~♪」


 この子は、笑顔しか無いのかと言いたくなるぐらい、笑顔で言う今日香ちゃん。

 だけど、俺の中で凄く新鮮味を感じた!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る