第291話 妹と通学
葉月学園の女子制服はシンプルなデザインで有るが、そのシンプルさに“無垢”を表していると俺は感じる!?
虹心は笑顔で俺に言い始める。
「兄ちゃん。それに、この制服!」
「兄ちゃんは知らないと思うけど、かなりのお値段がするんだよ!!」
「お母さんが、
「『虹心の制服は、航平や武蔵の倍近くしたわ…。男子と比べて、点数も多いし……』と、流石、私立学園だね!!!」
俺と虹心は当たり前に通っているが、葉月学園は私立学園で有る。
余り、両親を感謝したことは無いが、そう言われると両親のありがたさが分かる感じがする……
「私立学園も有るが基本的に、女子の服は何でも値段が張るからな!」
俺は、知ったかぶりをする表情で虹心に言う。
現に女性の着る衣類は、男性と比べれば高い。
「兄ちゃん。それも有るけど、この制服。かなり良い生地を使っているんだよ!」
「このベストも、見た目は厚みが有るけど、見た目の割に暑さを感じないんだよ!!」
「スカートも同じ!!♪」
虹心は和やかな表情で言う。
確かに、この時期の男子上着はワイシャツだけで良いが、女子はブラウスの上にベスト着なければ成らない。
男子のワイシャツ下は、Tシャツなどのシャツ一枚が殆どで有るが、女子の場合ブラジャーは当然、ブラウス下にインナーを着ている女子も多い筈だ。
虹心の場合は……インナーを着ているのだろうか?
(だが、それを通学中にする会話では無いな!)
(思うだけで留めておこう……)
……
その後も、虹心と雑談を楽しみながら学園に向かう。
俺はふと思い出すが以前、小鞠ちゃんと出会った曲がり角に差し掛かる。
一度だけで有るが、この曲がり角で通学中の小鞠ちゃんと出くわした。
今朝は虹心も一緒だし、再び出会えるだろうか?
すると、虹心はその曲がり角で急に立ち止まり、とある方向を眺め出す。
もしかして、小鞠ちゃんを待っているのか?
小鞠ちゃんとは最近、全く会話が出来てないから、俺にとってはチャンスと感じるが……
だが、虹心がその方角を眺め始めてしばらくすると、呟く口調で一人喋りを始める!
「向こうから、小鞠ちゃんが来る気配は無いな…!」
「まぁ……行くか!!」
虹心は一人喋りを終えると、再び歩き始める!
えっ、小鞠ちゃんを待っていたのでは無いの!?
俺も虹心と一緒に歩き始めるが、同時に虹心へ澄ました表情で質問を始める。
「虹心……小鞠ちゃんを、待たなくても良いのか?」
「待つつもりで、立ち止まったんだろ??」
「うん? うん!」
「別に小鞠ちゃんと、待ち合わせをしている訳では無いからね!!」
「お互いが、出会った時に一緒に行くぐらいだから!!」
虹心は穏やかな表情で俺に言う。
虹心は小鞠ちゃんを“幼なじみ”だと言う割には、えらいドライな関係だな!
俺は小鞠ちゃんの近況を最近、虹心経由で聞いていないので、虹心に尋ねる表情で聞いてみる。
「最近…。俺は小鞠ちゃんのことを虹心から聞いていないが、小鞠ちゃんはどうなんだ?」
「順調なのか……?」
「小鞠ちゃん?」
「……別に普通だよ。兄ちゃん!」
「3日前に、Railの通話機能でお話ししたけど、小鞠ちゃんは元気だったよ!」
「元気なのは良いが……その虹心」
「小鞠ちゃんはまだ、例の男と関係を持っているのか…?」
虹心は和やかな表情で言うが、俺は真面目な表情で質問する。
虹心は困った微笑み表情に変わって、俺の質問に答え始める。
「兄ちゃん…。小鞠ちゃんを想うのは兄ちゃんの勝手だけど、小鞠ちゃんも軽はずみで木付さんと付き合っているのでは無いし、木付さんは兄ちゃん以上に真面目な人だから、そんな簡単に別れる訳無いと思うよ…!」
「……そうだよな…」
「小鞠ちゃんは木付に気持ちを伝える前に、俺の出方を
「俺があの時。小鞠ちゃんに失言をしなければ、俺は小鞠ちゃんとやり直せて居たかも知れないのにな!///」
「…………」
俺は悔しそうな表情と感情を含めて言う。
けど、虹心は無言の澄ました表情で、俺を歩きながら見ている。
しばらくすると、虹心は困った微笑み表情で言い始めた……
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