第262話 譲羽先輩 その1

「三國君たちは、追加のドリンクは良い?」


 陽葵先輩への配膳を終えた後、空と成っている俺たちのドリンクを見て、真優美さんは笑顔で聞いてくる。

 すると、虹心は笑顔で真優美さんに言う。


「真優美さん!」

「アイスティーのお代わり。お願いします!!」


 俺は追加のドリンクを頼むつもりは無かったが、虹心は追加注文する。

 全く……人の金だと思って!!


「虹心ちゃんはアイスティーね!」

「……三國君はどうする?」


「あっ、では、俺も……虹心と同じので!///」


 真優美さんが営業スマイルで聞いてきたので、俺も慌ててアイスティーを注文する。

 此処で断ったら、俺の株が下がる気がしたからだ!?


 だが、アイスコーヒーを2杯飲みたい気分では無いし、此処の料金は全て俺持ちで有るから、自分は数十円でも安いドリンクで抑えないと!!///(汗)

 確か……アイスティーの方が、アイスコーヒーより安かった筈だ。


「アイスティー……2つ追加と!♪」

「たくさん頼んでくれてありがとうね。三國君たち!!♪」

「じゃあ、しばらく待っていてね♪」


 真優美さんは俺たちに笑顔で言うと、テーブルから離れて行く。

 真優美さんがテーブルから離れて行くのを陽葵先輩が見ていたが、今度は俺の方へ、澄ました表情で話し掛けてくる。


「えっと……私から、一つ聞きたいのだけど!」

「三國君たちは、どの様にしてこのお店を知ったの?」


「このお店は、完全住宅街の中に有るから、表通りからは見付けられないし……」

「それにお姉ちゃんは“親友”と言ったけど、この辺りで三國君たちの姿を見掛けたことが無いのよね……」


「あっ、それはですね、陽葵先輩では無く……譲羽先輩///」

「譲羽先輩はご存じかは分かりませんが、この近くに俺の同級生たちが住んでいるのです」

「伊藤亜紀さんや、二村彩織さんと言う人が……」


 俺は思わず、陽葵先輩と言ってしまうが、慌てて修正する!(汗)

 その為、俺の表情は少し焦った表情に成って、陽葵先輩に話してしまう!///


「伊藤亜紀さん……あぁ、三國君は亜紀ちゃんの親友なんだね!♪」

「亜紀ちゃんは家族でもお店に来てくれるし、一人でも来てくれるから、私も知っているよ!!」


「でも、夏休みに入ってからは……一人で来なく成ったわね?」


 和やかな表情で言う陽葵先輩だが、最後の文章は不思議そうな表情で言う。

 きっと陽葵先輩は、伊藤さんと二村さんが喧嘩をしたことを知らないのだろう……


 だけど、それを陽葵先輩に言う必要性も無いだろう。

 俺は、和やかな表情で陽葵先輩に話し掛ける。


「伊藤さんたちと一緒にお店へ来て、その時に真優美さんのお店と場所を知りました!」


「うん、うん。その様な経緯で、お店を知ったんだ!」

「それなら納得…!」


 陽葵先輩は納得した表情で言った後、此処でアイスティーの入ったグラスを触り始める。

 陽葵先輩はアイスティーに、ミルクとガムシロップを入れている。

 アイスミルクティー風にして飲むようだ。


 ちなみに虹心は、ストレートティーで飲んだ。

 その為、虹心のグラス横には使われていない、ミルクとガムシロップが有る。


 普段の虹心は市販の紅茶飲料でも、無糖入りは飲まないのに?

 急遽、真優美さんとの相席に成ったから気取ったか…?


「……」


 陽葵先輩は、アイスミルクティーにした物をストローで少し飲んだ後、ミルフィーユを食べ始める。

 陽葵先輩は今からおやつタイムで有るが、俺と虹心は早いおやつタイムを既に終わらせている。

 俺はそれを静かに眺めようとした時、虹心が穏やかな表情で俺に話し掛けてくる。


「兄ちゃん!」

「そのクッキー、もう一枚貰っても良い?」


 虹心はそう言いつつも、既に手はクッキーが乗っているお皿に伸びていた。

 俺が三枚ほど食べて、虹心がさっき一枚食べたが、まだ三枚残っていた。


「あぁ……良いよ!」

「俺一人では、少し多いからな!」


「じゃあ、貰い!♪」


 俺は澄ました表情で言うと、虹心は笑顔でクッキーを手で取って食べ始める。

 学園一の美少女で有る陽葵先輩が今、俺の目の前に居るが……俺は関係を深めることが出来るのだろか?

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