第181話 ハンバーグ その2
「……」
小鞠ちゃんの真横に座っている虹心は、俺と小鞠ちゃん状況を知っているので、観察するように俺と小鞠ちゃんを見ている。
だが、虹心は特に言葉を発せずに味噌汁の椀を取る。
「ズズ、―――」
虹心は何も無かったような表情をしながら、味噌汁を飲んでいる。
今、このテーブルには、ほぼ家族全員が居る。
賢い虹心はこの場で状況を聞かずに、後で聞くつもりで有るのだろう。
「……ねぇ、武蔵！」
「聞きたくないことを聞くけど……あんた。津和野さんに何かした？」
「！！！」
さっきの異変を虹心だけで無く、母親も見ていたようだ！？
母親は尋ねる表情で、俺に聞いて来る！！
「…えっ！？」
「あっ、あぁ……さっき、少しだけど小鞠ちゃんと口喧嘩をしてしまってね！///（汗）」
「……///」
こう言った時の母親は、何故か洞察力が優れる！？
さっきでは当然無いが、口喧嘩をしたのは事実で有るので、俺は一部を正直に言う。
小鞠ちゃんは困った表情で
「……そうなの？」
「あんたが……津和野さんと口喧嘩をするなんて、初めてじゃない！？」
「まさかと思うけど……二股とかは、掛けていないよね…？」
「あなたは確か……同級生の女子と、関係を深めているのでしょ！？」
「！！///」
（母さん。余計なことを言わないでくれよ！（汗））
（家族の前で、公開処刑をしないでくれ！///）
面と向かって二股は掛けていないが、伊藤さんを失って、直ぐに小鞠ちゃんに謝罪をしているから、間接的には二股を掛けている！？
此処で虹心が『やれやれ』の表情をしながら、母親に話し掛ける。
「……お母さん！」
「小鞠ちゃんは、兄ちゃんに興味なんか持っていないよ…」
「小鞠ちゃんは学年内でも人気が有る子だし、そんな小鞠ちゃんがダメ兄ちゃんを好きに成らないよ！！///」
見事なフォローと言いたいが、凄く俺は馬鹿にされていたぞ！！
虹心の言葉で、母親は不思議そうな表情をして虹心に話し始める。
「そうなの…！」
「虹心がそう言うなら良いけど、なら何で、武蔵は津和野さんと喧嘩をしたの？」
「そりゃあ、アレだよ。お母さん！」
「私が居ない隙に、兄ちゃんは小鞠ちゃんと仲良くしようとして、小鞠ちゃんに怒られたのでしょ！！」
「小鞠ちゃんは、兄ちゃんを全く意識していないから！！」
（滅茶苦茶言うな、虹心の奴！！）
（けど……殆ど、虹心の言う通りか！？）
虹心は困った微笑みで言った後。少し笑いながら小鞠ちゃんに話し掛ける。
「ごめんね。小鞠ちゃん！///」
「馬鹿兄ちゃんなんか、そのまま無視で良いし、縁も切っちゃって良いよ♪」
「後から私も、凄くキツく言って置くから！！」
「あっ……はい！///（汗）」
「虹心ちゃん…。ありがとうございます！///」
「虹心ちゃんの兄さんに是非、大きなお灸を据えてください！！///」
「！！」
虹心は俺を
其処まで、俺のことが嫌いに成ってしまったの。小鞠ちゃん！？
「…何だか、良く分からんが武蔵！」
「同級生の女子がいるのに、下級生の女子に手を出すのは関心出来んな！」
兄は眉を
そして母親も、呆れ返った表情で俺に言う。
「その感じだと……同級生女子との関係は、進展していないのだね…」
「武蔵が其処まで、異性に飢えているとはお母さんも知らなかったわ……」
楽しい晩ご飯の時間。
それに今日は俺の好物のハンバーグなのに、今まさに俺は、四面楚歌状態で有った。
虹心の変なフォローの所為で、母親や兄も、俺を残念そうな表情で見ている。
虹心は和やかな表情で食事を再開させており、小鞠ちゃんも何処か安心した表情で、食事をしている！！
どうして、俺の人生はこんなに辛い目ばかりに遭うのだ！？
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