第65話 俺の親友に相談 その1

(けど……そう考えると、押せば二村さんは落ちるのに、今まで二村さんが異性と関係を持った話をまだ聞いてない?)

(……二村さんも自我が有ると言いたいが、はっきりと断わっている場面を、俺は見たことが無い??)


 俺が二村さんを意識し始めたのは、この学年で二村さんとクラスメイトに成った時からだ。

 それまで、二村さんは美少女との噂話は聞いてはいたが、なんせ、俺の学年クラスは凄く有る。


 特進コースは1クラスだけで有るが、それ以外のクラスは年度事に、“ごちゃごちゃ”にクラス編成がされる。

 体育などの合同授業も、数グループに分けられるので(特進は除く)、学年に気に成る人が居ても、声を掛ける機会がほぼ無い。

 虹心の小鞠ちゃんでは無いが本当に無い。


 二村さんは俺と同じ、普通コースだが、伊藤さんは特進コースで有る。

 成績も優秀で、美人で有って、初対面には冷酷だが、伊藤さんの中身を知れば、それが全てひっくり返る!!

 あの冷静な分析力や判断力は……頭の回転が良いから出来るのだろう。


 余分な話しだが、虹心も成績は優秀だ。

 虹心も頭の回転が良い。

 高等部に進学する時は、虹心も特進コースを選択するのだろうか?


 二村さんと伊藤さんの関係が、俺の中では全くの不明だが、二村さんと関係を深めれば知ることが出来るだろう。

 俺の予想では虹心と小鞠ちゃんのように、幼なじみ系だと読んでいるが……


(まだ、二村さんのRail(SNS)も知らないし、松田が大攻勢を仕掛ける前に、こちらが二村さんを抑えないと、松田と全面対立してしまうぞ!(汗))

(他の陽キャラ連中らは、まず松田側に付くだろうし、俺の親友は岡谷君以外、当てに成らない!!(大汗))


(松田は陽キャラなんだから、大人しい二村さんでは無く、陽キャラやDQN女とくっつけば良いんだよ!!)

(早急に作戦を立てて実行して、二村さんと関係を深めなければ……)


 この授業の間に、俺は画期的な作戦を思い付くことは無かった……


 ……


 昼食の時間……


 俺の昼食は基本的に、学園内に有る購買に行って、其処でパン類と飲み物を買って、教室に戻り一人で食べる。

 だが、今日は二村さんに関する相談を、誰かにして見たかったので、俺の大親友で有る岡谷君を昼食に誘って、その時に二村さんのことを相談して見る。

 岡谷君が自分の机で昼食の準備を始める中、俺は席から立ち、岡谷君の席に向かう。


「岡谷君!」

「たまには、一緒に食べない?」


 俺はフレンドリーに岡谷君に声を掛ける。

 岡谷君も基本、一人で食べる子だ。


「武蔵とか……なら、外行くか……!」


 岡谷君は低音で短い言葉を言って、席を立ち上がる。

 今日は天気が良いので、外で食べても大丈夫だ。

 俺はまだ、購買でパン類を買っていないから、購買に寄り道をしてから校舎から出る。


 昇降口から校舎を出て、校舎沿いにベンチが設置されている場所が有るので、其処に二人で向かい、あるベンチで岡谷君と座る。

 近くに花壇も有って、季節の花が綺麗に咲いていた。


 少しだが、小鞠ちゃんの家で見たガーデニングを思い出す。

 けど、今は二村さんだ……


 そのベンチで男性二人が、昼食を食べるシチュエーションに成るが、俺は気にはしない!?

 俺は購買で買った、惣菜パンや菓子パン。

 岡谷君はコンビニでの、おにぎりやサンドイッチを食べ始める。


「……」


「……」


 二人だけの、静かな咀嚼音が聞こえる。岡谷君は無口で有る。

 今日は少し、日差しが強いことも有って、ベンチに俺たち以外座っている人は居ない。


 岡谷君は、虹心のように愛嬌は絶対に振り向かせないし、作り笑顔すらしない。

 常に、仏頂面が岡谷君の特徴だ。

 普段から世の中を詰まらなそうに、眺めているが岡谷君で有った。


 何故……そんな岡谷君が俺の大親友かと言うと、波長が最も合ったのも有るが、それプラス、ミリタリー関係で話しが盛り上がったのが、親友に成った切っ掛けで有った。


 俺も岡谷君も、第二次世界大戦付近の歴史に、お互い興味を持っていた。

 そんな関係で、俺と岡谷君は親友に成った!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る