第53話 口が軽い虹心!

 二村さんの連絡先は、クラス内連絡網から知ることは出来るが、いきなり通話やショートメッセージを送るのも気が引ける。


「うん? 兄ちゃん??」

「箸が止まって居るぞ!!」


 二村さんからRailを聞き損ねた事を、心の中で後悔していると、虹心が澄ました表情で話し掛けてきた。


「いや……二村さんから、RailのIDを聞き損ねたなと思っていた…///」


 俺は虹心に呟くように言うと、虹心は呆れながらの表情で言い始める。


「……兄ちゃんは、相変わらずのドジだね!」

「やれやれだ……。ふぅ!」


 虹心は軽いため息をいた後、兄に向けて和やかな表情で話し掛ける。


「あっ、お兄ちゃん。聞いてよ!!」

「兄ちゃんにも、やっと遅い春が来そうだよ♪」


「こら、虹心!?///」

「俺に女性の親友が出来たことを、家族の前で公表する家なんて、何処に有る!?」


 俺は慌てながら虹心に言うが、虹心は嬉しそうな表情で言う!


「え~、めでたい事だから良いじゃん!!」

「ねぇ、小鞠ちゃん♪」


「えっ、えぇ…///」


 虹心は笑顔で小鞠ちゃんに話を振ったが、小鞠ちゃんは遠慮気味に返事をする。


「ほぅ~~。武蔵にもやっと、彼女が出来るか!」

「兄としても、心配はしていたんだ!!」


 虹心の言葉で、和やかな表情で言う兄。


「武蔵は少しオタク気味だから、私(母親)も心配していたんだよ!」

「なら、明日はお赤飯でも炊こうかしらね!」


 虹心よりも、嬉しい笑顔で母親は言う!?

 赤飯!? 何時の時代だよ!??


「母さん、大袈裟すぎるよ!!」

「まだ、親友からスタートしたばかりだから///」


 俺は母親に、頬を染めて恥ずかしがりながら言う。


「良かったね、兄ちゃん!」

「家族からも祝福されているよ♪」

「もちろん! 私も嬉しいよ♪」


 虹心は満面な笑顔で言うが、こっちが恥ずかしいだけだよ。

 まだ、恋人関係にも成っていないのに。


「家族から褒められても……俺は複雑な気分だよ!///」


「……///」


 俺は虹心に“からかわれ”ながらも、晩ご飯の時間は過ぎていく……

 みんなが祝福してくれる中、小鞠ちゃんだけは何故か祝福をしてくれなかった?


 ☆


 晩ご飯の時間も終わり、今日は遅くまでリビングで家族と、小鞠ちゃんを含めて過ごしてから自室に戻り、漫画でも読むかアプリゲームをするか、それとも寝るかを俺は考えていると……誰かがドアをノックする。


『コン、コン♪』


「兄ちゃん!」

「今から、反省会をするから、私の部屋に来て!」


 ノックの主は、陽気な声で言う虹心で有った。


「反省会…?」

「分かった!!」


「じゃあ、待ってるね~~」


 俺が返事をすると、虹心は陽気な口調で言ってから、足音が遠ざかっていく。

 今から、今日の反省会プリンモールを行うようだ。


(今後の改善か…?)

(でも……もう、今後は無いだろう!?)


 俺は学年、一位・二位を争う、美少女の二村さんと関係が出来た。

 仮に上を狙うなら同学年の伊藤さんか、後は先輩の陽葵ひまり先輩しかいない!??


 しかし、俺みたいな落ちこぼれや、スクールカースト底辺が伊藤さんを求めても、伊藤さんの雰囲気的に俺を相手にしないだろうし、陽葵先輩に限っては難攻不落どころでは無く、鼻も引っかけないだろう……


(まぁ……呼ばれた以上は、行きますか!)


 虹心と小鞠ちゃんがいる部屋に俺は向かった。

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