第2話死んだ俺が見た景色。

死んだ俺が見た景色、それは幽体離脱からのスタートだった。

魂が抜けだしたことで肉体がなくなったことで視神経の伝達が脳に行かずに目が見えないかと思われていた死んだあとの世界。しかしちゃんと目が見えた。それは盲目の武術の達人と同じようにいやそれ以上におそらくくっきりしていた。むしろ生前の視力よりも視界が広くなっていて全体を見渡すことができた。

 幽霊になったら半透明なのをよいことにいろいろな場所にいけるという話があったりするが、死んだ俺もその気持ちは多少なりともあった。しかし多少なりともというのは死んだことで性別による遺伝から抜け出て事で性欲などのものは一切排除され覗きという気持ちはほとんどなかった。ほとんどというのは少しはあるのだが、それは性欲の対象というよりは純粋なる知識欲であり、それは食欲も一緒だった。食べたいわけでもないが、世の中にはどんな料理があるのだろうかという興味が知識欲として魂に残っていたので、この世界を探索してみたい気持ちにかられた。しかし、そこでふと思ったのが、俺の魂はいつ浄化されるのだろうかという事だった。この幽体離脱状態は生理現象や睡眠欲などもないので、ある種時間が止まったような感覚でふわふわしている。それは存在としてだけではなく、気持ちも。そんな気持ちを若干抱いていた俺のもとに天から木漏れ日が、もとい導きの光が降り注いだ。まばゆい光になれ、目を開けるとそこには二つの存在が立っていた。いや浮いていた。それは天使と悪魔だった。

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