第7話 解決!?エネルギー問題
太陽光は
「ちょ、ちょっと待ってて」
僕は慌てて太陽光発電で得た電力を貯める蓄電池の電気残量計を見に行った。その残量は二割を切っていた。
「まずい…」
太陽の光が届かず使う事しかしてなかったからそりゃあ減る一方だろうとは思ってたけど…。
「これじゃ今日一日…、いや半日くらいしかもたないぞ…」
僕は頭を抱えた。
「どうしたの、デンジ?」
慌てた僕の様子を見てついてきたのだろう、アイアイが声をかけてきた。
「うん。実は家電の燃料になるものがなくなりそうなんだ…」
「カデン?」
「あ、えーと、料理とか明かりとか…アイアイ達が言ってたように魔導具…なのかな。その燃料がなくなってきたんだ」
「え、じゃあお湯を沸かしたり明かりをつけたりが出来なくなるって事?」
「そうなんだ」
「じゃあ、魔石を使えば良いじゃない」
「魔石?」
「そう、魔石。魔導具は魔力を燃料にするの。だから魔力の結晶たる魔石はその燃料にうってつけな訳。魔法を使える人が直接魔力を流し込んでも良いけど効率が悪いの。それよりは魔石の方がずっと良いから…」
そう言ってアイアイは何やら子供の指先ほどの薄く黒みがかった石のような物を取り出した。これが魔石というやつだろうか。
「ここにおけば良いのかな?」
そう言うとアイアイは燃料計の上に魔石を置いた。いや、電力の残量計だよ…魔力の結晶化したものである魔石とは違うものだよ…。そう思っていたのだが魔石は熱した鉄板の上に置いた氷のようにその形を崩していく。
「あっ!」
氷のように魔石が融けていく様子に思わず声が出た、もっとも実際に氷が融けた時のように後に水が残る事はない。まるで電力の残量計に吸い込まれるようにして魔石が消えていった。
「試しに置いてみたけどどうかな?魔力回復した?」
残量計を見るとおよそ10パーセントほどの電力が溜まっていた。もっとも地球で使われる算用数字の知識がないアイアイはその事は分からない。
「駄目…だった?試しに使ってみるから一番小さな魔石にしてみたんだ。魔導コンロだと鍋一つ分のお湯を沸かせるくらいだけど…」
しかしアイアイの話ではこの魔石一つで魔導具を使ってそんなに大きくはない鍋に入った水を沸騰させるくらいのエネルギーにしかならないと言う。そう考えるとこの異世界のエネルギー事情はかなり効率が悪そうだ。この一番小さな魔石一つで半日とまでは言わないが八時間くらいの電力に相当するんだから。
「アイアイ、助かったよ。これで少しはもつよ。ちなみにこれでいくらぐらいで売れるの?」
「そうだね…、200ゴルドくらいかな」
昨日聞いた感じだとだいたい1ゴルドと1円は同じくらいの価値に思える。様々な技術や大量生産というものがないこの異世界では一つ一つの品物が割高だ。
太陽の光が届かないこのダンジョン内ではこの魔石こそエネルギー源、そこで僕はアイアイにこの魔石を譲ってくれないかと持ちかけた。
「うーん、良いけど…その代わりぃ…」
アイアイは人差し指を唇の端に当て少し考えた様子で再び口を開いた。
「美味しい朝ごはんが食べたいな」
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