第35話 それでも物語は紡がれて行く



何も無い一日

歯を磨いて顔を洗って

掃除をして

洗濯をして


珈琲を淹れてほっと一息


今日は何をしようか

そんな一日が過ぎて行く


何も無い

強く思う夢も希望も無く

信念のような思想も無く

時間と共に事象だけが過ぎて行き


何も無いという現実は

それも物語として紡がれて行く


この物語は誰にも読まれない

私だけの真っ白な一日


それでも感情だけは残存しているようで

涙する日は虚無に負けてはいけないと言い聞かせ

笑える日なら感謝を捧げ


やがて私だけの世界が広がり

誰も居なくなる


この感覚だけの世界が私を支配し

なすがままに任せる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る