第163話 お迎え
アマリア聖王国、ツヴェルク王国と同盟を結んだ日から数日が経った。今日はいよいよイザヤさんとガンドール王が温泉街に視察に来る日。
せめて一週間は猶予が欲しかったけど、イザヤさんとガンドール王の両方からまだかまだかと急かされ、今日が視察日となったのだ。
ここ数日本っっっ当に大変だったよ。こんな短期間にも関わらず何とか体裁を整える事が出来たのは、従業員の皆と陽菜やアンナ達も力を貸してくれたおかげだね。
元々この温泉街の客層は立地の事もあり冒険者だけだと思っていたから、全くVIPに対応してなかった。日数も少ない中で、よくここまで作り上げたもんだよ。
ちなみに本日のコタロウとリュウは、影に潜って護衛中。今回の視察でイザヤさんとガンドール王にはバレるだろうけど、その方が私としても都合が良い。温泉街以外でも一緒に歩いて回れるようにしたいんだよね。
さてそろそろお迎えに参りますか!まず最初に登場するのは、ここ数日の汗と涙の結晶第一弾!王族が乗っても見劣りしない豪華な馬車!し・か・も!リアム君協力の下、悪路でも揺れない快適な馬車に仕上がっております!
馬車の御者を務めてくれるのはクレマン。最初はヒューゴの予定だったはずだけど、気付いたらクレマンに変わっていた。そのヒューゴの姿を朝から見かけないから、きっと警備隊の仕事が忙しいんだろう。何せ初のVIP来訪だからね!
「いざ、しゅっぱーつ!!!」
豪華馬車に乗り込み、サクッと転移。入国門をほぼノーチェックで通り、そのまま商業ギルドへ向かう。
向かう道中、豪華馬車が道行く人の視線を独り占め。窓にカーテンを付けていたから良かったけど、無かったらと思うと恐ろしい。注目されるのは昔から苦手なんだよね。
商業ギルドに着くと、何やら仰々しい格好の人達が入り口付近に待機している。少し嫌な予感を感じつつ、ギルドの中へ入る。
はい、予感的中。こういう時は外れてくれても良いんだよ!?私の第六感!!
「イザヤさんのお見送りに来たんですか?カルロさん、マイルズさん。」
「いえ、実は私達も同行させてもらえないかと、ここでお待ちしておりました。」
「ここ数日イザヤさんが妙にソワソワしていたもので、問い詰め・・・訪ねた所、桜さんの温泉街に遊びに行くと聞きまして。」
マイルズさん、今絶対笑いながら問い詰めたって言いかけたよね!?
しかもイザヤさん視察じゃなく、遊びに来る気満々じゃない!?でもイザヤさん楽しみでソワソワしてたんだ。ちょっと見てみたかったかも。
「今後アマリア聖王国を発展させていく為の勉強に、どうか私達2人も連れて行ってはもらえませんか?」
ちらりとクレマンを見ると、軽く頷いている。人数が増えても対応可能らしい。さすがクレマンだね!
「分かりました。じゃあ一緒に行きましょう!この後ツヴェルク王国にガンドール王を迎えに行きたいのですが、馬車は同乗されますか?」
「「「 ガンドール王!!??」」」
ガンドール王の名前を聞き、固まる3人。
「あれ?言ってませんでしたっけ?今回の視察は、イザヤさんとガンドール王のお二方が来られる予定で組んでいたんですよ。」
「「「 聞いてません!!!」」」
3人とも息ピッタリ!本当仲良しだよね。
「という事は、ツヴェルク王国とも同盟を結んだって事かい?」
「はい!温泉街を作るのに、ドワーフの職人さん達に力を貸してもらったんですよ。そのご縁で、同盟も結んでもらえたので助かりました!」
「あの人嫌いのドワーフ達が、人間の街を作るのを手伝った!?」
「それに同盟まで!?」
「一体どんな魔法を使って、そんな奇跡を起したのですか?」
魔法・・・確かに魔法に近いかも。本当は魔法じゃなくて、温泉スキルのおかげなんだけどね。
「桜様、そろそろガンドール王の迎えに行かれた方がよろしいかと。」
「本当だ!急がなきゃ!それで、馬車はどうしますか?」
「「「 別で!!!」」」
カルロさんがここまで乗ってきた馬車に、大慌てで3人が乗り込んだのを確認すると、クレマンが馬車を進める。
さあ、次はガンドール王のお迎えにしゅっぱーつ!
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