第126話 レシピの氾濫
グレイソンが作ってくれた魔道具を、料理長とヘレナに早速見せに行こう。
グレイソンが作ってくれた魔道具は、日本で言う所の冷凍庫、ハンドミキサー、ジューサー。大きな冷凍庫も、収納にしまえば持ち運びも簡単だね。
そうだ!今度アイスクリームメーカーを作ってもらおう。子供達用にボール型のアイスクリームメーカーも欲しいな。
転がしながらたくさん遊んだ後に、冷たくて甘いアイスクリーム!うんうん、我ながら良いアイディアだと思う!追加分が出来たら、グレイソンに頼んでみよう!
そんな事をコタロウの背中に乗りながら考えていたら、あっという間に到着。
ヘレナに任せた甘味処に、最近は料理長も通いつめ、2人でオープンに向けたメニューの試作に試行錯誤しているらしい。
「2人ともお疲れ様!順調に進んでる?」
「桜様!お疲れ様です!教えてもらったメニューは全部マスターしたのですが、もう少し何か増やせないかと考えていたんです。」
「ですが中々アイディアも出てこず・・・新しい料理を創るというのは大変な事なのですね・・・。」
どうやら新作のアイディアが出ず、煮詰まっているらしい。もっと沢山の甘味に触れれば、その内自然と出てくるんじゃないかな。
これは久しぶりにレシピを大量に作る必要があるかもしれない。
2人と別れて大熊亭の自室へと戻り、早速デザートのレシピを作る。
っとその前に、ずっと背中に乗せてくれたり、付いて来てくれたコタロウとリュウには、お礼にフルーツたっぷり添えたパンケーキを食べてもらおう。
「美味そう!いただきます!」
「桜ちゃんありがとー!」
とっても幸せそうに食べる2匹に癒されながら、レシピを考える。何が良いかな。
やっとノアに作ってもらった型を使う時が来たね!
オーソドックスな所で苺のショートケーキに、チョコレートケーキ、チーズケーキ、シフォンケーキにパウンドケーキ、可愛い形のクッキーにたい焼き。
型を使わないデザートにアイスクリーム、シャーベット、スムージー。四角いアップルパイやマカロンにドーナツ、それにどら焼き!
回転焼きや型から出すタイプのプリン用の型、タルト型にロールケーキの生地を焼く為の大きめの鉄板が欲しいな。後でノアにお願いしておこう。
あぁぁぁぁ、食べたいデザートが多すぎて、書いても書いても終わらない!
どれも応用が利くから新作にも当分困る事はないと思う。2人からも色んなアイディアが出てくるかも!
ひたすらレシピを書き続け、気が付いたら日が傾き始めていた。久しぶりに沢山文字を書いたから手が痛い。
・・・というかこのレシピの量多すぎかな。一気に出しても良いのかな。そこはかとなく良くない気がしてきた。
あまりにも興が乗ってしまって、デザートだけじゃなくて料理のレシピも書いちゃったせいだね。食パンやたこ焼きの型も出来たから、つい・・・。
しかもまだ作ってない温泉を使ったレシピまである。
どうせ困る事になるならいっその事、作ってしまおう!
ずっと待たせてしまったコタロウとリュウを見ると、2匹で寄り添いくっついて眠っている。私も一緒にくっついてお昼寝したいけど、久しぶりにゆっくりお昼寝してるんだから起こすと可哀想だね。
飛び込みたい衝動をグッと堪えて、そーっと部屋を抜け出し、商品専用にしている温泉区画へ足を向ける。
「さあ!作っちゃいますか!」
落ち着いたら作ろうと思ってたケチャップに、ブイヨン、コンソメ、たこ焼きソース、ついでにとんかつソースを温泉スキルで作る。鑑定結果も間違いないし、本当に温泉スキル様々だよ!
1階に降りると丁度ガインが厨房から出て来た所だった。せっかくなので料理好きのガインも誘ってみようかな。
「実は今から新作レシピを料理長とヘレナに見せに行くんだけど、良かったらガインも行く?」
「行く!」
おぉ、さすが料理好きのガイン。大熊亭の料理長!たまに忘れそうになるけど、一応料理長だよね。
ガインと一緒に甘味処へ行くと、料理長とヘレナがまだ話し合っていた。ちゃんと就業時間守ってるか心配だな・・・。
甘味処へ入ると、私とガインを見た料理長が驚いた顔で聞いてくる。
「あれ?桜様とガインの組み合わせとは珍しい。何かありましたか?」
「実はあれから新作レシピを書いてみたから、見てもらおうかと思って。」
収納にしまっていた書いたばかりのレシピを机の上に出す。その数ざっと30枚。内訳はきっちり半分の料理15枚、デザート15枚。
「書き始めたら止まらなくなっちゃって・・・。」
えへっと笑って誤魔化すが、誰からも反応が返って来ない。
不思議に思い3人に視線を向けると、既にレシピを手に取り、真剣に読み込んでいた。そっちの反応になるのね。
まだまだ読み終わるのに時間が掛かりそうなので、先に厨房に調理用魔道具を置いて来よう。
厨房の空いた場所に冷凍庫。作業台にミキサーとハンドミキサーを置いておく。簡単だけど使い方の説明書きも書いて来たので、一緒に置いておく。
ついでにと厨房内を見渡し、他に足りない物がないか確認する。お皿やカップ、スプーンやフォークも結構な数揃えてある。うん、大丈夫そうかな。
3人の所へ戻ると、皆キラキラではなくギラギラとした血走った目をしている。少し怖かったので、思わず立ち止まってしまった。
「桜様!このレシピは素晴らしいです!是非使わせて下さい!」
「調理用魔道具というのが書いてあったのですが、一体何ですか?」
「明日から俺もここで手伝う事になった!」
テンションのおかしい3人が、一斉に話し掛けてきて全く聞き取れなかった。とりあえず一旦落ち着いて欲しいな。
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