2013年12月3週

「ねー、ちーちゃん!」

「ん-?」

「まだタバコ吸ってるの?」

「そうだねーちょいちょい吸ってるよ。」

「そんなちーちゃんのタバコをやめさせるアイデアを持ってきました!」

「おー!自信満々だねー。」

「あやちはちゃんと調べてきました。タバコの依存はニコチンが主な原因らしいです。」

「それはわたしも知ってるよ。」

「でも、心理的にも原因があるみたいなの!」

「へー、そうなんだ!めっちゃ調べてるじゃん!」

「あやちはやるときはやるからねー。ちーちゃんのためでもあるし!」

「そんなことはどうでもいいよ。で、どうするの?」

「まってね、ちゃんと順番に話すから。心理的な理由として口が寂しいっていうのがあって。これは前にちーちゃんが言ってたやつなんだけど、一般的にそうらしいの。」

「あ、そうなのね。やっぱみんなそうなんだ。いやタバコ吸いだしてからさ、お茶飲む回数増えたの。そのあたりも繋がってるのかな。」

「かもね。でね、その寂しさを消すのにちょうどいい刺激が実はチューだったの!」

「え、あやち正解じゃん!」

「あやちすごくない?天才かと思っちゃった!だから、一番早いのは恋人を作っちゃうことなの!」

「恋人かー。彼氏ねー。」

「そもそもさ、ちーちゃんってなんで今付き合ってないの?モテない?」

「いや、モテるんだけどさ実際。結構告白されたりデートいったりするんだけどさ。告白されて、別に嫌じゃなければ即OKなのわたし。なんかさ、全然理由は分かんないんだけど、気づいたら自然消滅してるのよね。」

「それってちーちゃんが彼氏に構ってあげないからでしょ?」

「構うってそもそも何さってね。遊びたければわたしの家にこればいいし、エッチだっていつだってしてやるつもり満々だし。わたしもいつもそうやって言ってるんだけどねー。」

「ラインは?」

「メンドイじゃん!一緒にいて話すならいくらでもするけどさ、ラインで文字打つとその間手止まるじゃん!話したいならわたしの家来いよ!そのままエッチしたらいいじゃん!わたしだってそろそろほど良いやつとしたいよ!」

「え、ちーちゃんって処女なの?」

「え、あー。…………。ま、まあ、そうだよ。大切な人のためにとってるとかでもなければ、交際経験がないわけでもないのにね!なんでだろうね!」

「あー!ちーちゃん!それあやちのミカン!潰さないで!」

「おっとごめん、怒ってるわけじゃないけど、なんだかイライラしてきた!」

「やばい、ちーちゃんがダークモードになってる!話し戻すね!」

「話って何だっけ?」

「タバコをやめさせるって話!」

「あー、それね。やめる気ないから全然聞いてなかった。」

「もー、ちゃんと聞いてよねー!でね、そりゃ恋人がいてチューできればいいんだけど、そうはいかない人もいるじゃん?」

「わたしみたいにね!」

「ちーちゃんの場合はちょっとまた特殊な気もするけど……。でね、じゃあキスを疑似体験できればいいじゃんってなるの!」

「あー、なるほどね。お手軽に疑似体験できるなら24時間相手も関係なく発散できるわけだ。」

「そういうこと。でね、そのアイテムがチョコレートなの!チョコを食べて感じてる刺激と、キスの時に感じてる刺激って脳波的には結構似てるらしいの。だから、はい!」

「うわ、めっちゃチョコじゃん!え、しかも全部ミルクチョコレート。ホワイトとかイチゴとかもうちょっとあったじゃん!」

「細かいことは気にしないの!タバコが吸いたくなったら言ってね!」


んー、なるほどなー。

結構いい線行ってる気がするなー。

てか調べたんだ。

せっかくタバコに慣れてきたところだから、今やめるわけにいかないんだけど。


「ねーあやち?」

「お、タバコ吸いたくなった?ささ、チョコ食べて?」

「チョコを自分で食べるのもいいんだけどさ。チョコを口移ししてもらったら、キスの分も含めて倍効果があるってことじゃない?」

「ええー、ちーちゃん!!!???何言ってるの!?」

「さあ、わたしのタバコを止めてみたまえ。」


これ見よがしに目をつむって、タバコの箱を探してみる。

わたしも懲りないなあ。恥ずかしいけどさ、人に恥ずかしいことさせるってことの方が大事よね。自己犠牲がハンパじゃないね。

あー、しまった!こんなことならカメラの一つでも仕掛けとけばよかった!もー、なにやってんだわたし。


お、カシャカシャ音してるなー。チョコの袋空けてるねー。あやちも頑張るねー。

今回はわたしも相当心の準備できてるから、キスが来たと思ったらもう抱きしめて逃がさないようにしないと。あやちをびっくりさせないと。

お、ちょっと目に入ってくる光が減った気がする。あやちが近づいてるなあ。バッチコイ、あやち。目にもの見せてくれる!


「ちゅっ」


きた!後頭部を抑えてそのままゆっくり倒れ込む。あやちに覆いかぶさるように。


「ちゅ、んちゅ、ん。んふー。ちゅる、んちゅ。ちゅ。」


そろそろ良いかな?薄目を開けてみようかしら。

うわ、あやちもう顔真っ赤っかじゃん!もうめちゃくちゃテンパってるじゃん!


「ありがと、あやち。これはタバコやめれるかも。」

「え!?ぅ、うん。それはどうも。」

「でさ、ものは相談なんだけどさ。」

「?どうかした?」

「またタバコ吸いたくなっちゃった。」


そういってチョコの包みを渡してみる。果たしてあやちはどうするのかな。

うわ、また顔赤くなったよ。あれ以上さらに赤くなるもんだね。


「じゃあ、あと一回だけね?」

「え、あと一回なの?じゃあ明日からはまたタバコ吸い始めるかー。」

「あーええっと、そうじゃなくて。」

「いいよ、分かってる!今日はこれで最後なんでしょ?」

「ぁ、ぅん、そういうこと。」


…………ちょーっといじめすぎたかな…………?

今回はすぐに終わらせてやるか。


「ふぁい、うんびえきたよ」

「はーい、ありがとね。わたしのためにねー。」


ちゅうぅっ


「んんーーーっ!」

「ん-、やっぱチョコは美味しいね!ありがとねあやち。大事に食べるね。」


あやちが咥えたチョコを吸い取ってもぐもぐといただく。


「あー、噛んじゃダメなのに!溶けるのをじっと待つのが効果的なのに!」

「しらないもーん。」

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