オアシス
岩陰でしばらく休み、また陽射しの中を歩き続けていると、小さな丘を越えたところで突然ミランダが何かを見つけて叫んだ。
「見て! オアシスがあるわ!」
指差す向こうには透き通った水をたたえたオアシスがあった。
「おそらく遠くで雨が降ったんだろう。それで地下水脈で繋がったここに湧き泉が出来たんだろうな」
荒野の植物は逞しい。僅か数日前に出来た泉でも周りにはちらほらとグリーンが芽生えていた。
「ヒヤッほぅ!」
俺の言葉なんかまったく無視してミランダは走って行くと、おもむろに着ている服を全部脱ぎ捨てオアシスに飛び込んだ。
「なっ! お前! 馬鹿‼︎ なんて格好してるんだ⁉︎」
「はぁ〜! 気持ちいい〜! ほら、あんたも遠慮しないで早く来なさいよ」
ミランダは何を気にすることもなく俺を誘った。
「馬鹿野郎! 俺を何だと思ってんだ! さすがにそこまでされて大人しく指咥えて見てるだけだと思ってんのか⁉︎」
「何よ? まさかチェリーボーイってわけじゃあるまいし、言ってる意味がわかんないわけじゃないでしょ?」
そう言ってミランダが色づきのいい口唇をペロッと舐めた。その下には見事な形で整った双丘がこちらに向かって存在感を主張していた。
「付いてこいって言ったワケ、知りたかったんでしょ?」
―― ドクン
その一言で俺の胸が激しく動悸した。
「うるせー‼︎ 安く見んじゃねーよ!」
俺はブチ切れると、もと来た道を東に向かって駆け出した。
畜生! 夢のような女だったと思ったのに! 夢はあくまで夢だったのかよ!
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