第12話 おっぱい星人なのよ!

『それ……………ホント?』


 数秒、沈黙が続いた後に、千葉は口を開いた。


『本当だ。別に嘘を吐く必要もないだろ』


『うん、そうよね』


『信じてくれたか?』


『まぁ』


『それって具体的にどのくらい?』


『まだ100%じゃないけど、99%は信じたわよ』


『それ全部信じたじゃだめなのか?』


 少し笑いながら聞くと、


『全部信じちゃうと裏切られた時に反動が大きいから残りの1%は残しておくわ』


『そうか』


 多少は信じてもらったとはいえ、俺の信用がまだ薄いようだ。

 99%でも信じてくれたことを幸いに思おう。ダメだったら今も「言わないで!」と言われ続けていると思うしな。


『でもさ、予想以上に安全な人で安心したわ』


 クスクスと千葉は笑う。


『俺をこれまで危険人物だと思ってたのかよ………』


 苦笑する俺に、


『あんた、クラスの男子と話してる時私達よりエグイ話してるじゃない』


『例えば?』


『誰が何カップくらいあって、一番気持ちよさそうなのは誰がとかさ』


『あ~………………してたな』


 しょうがないだろ、思春期男子なんだから。逆に健全な話をしてる方が怖いくらいだ。


『その時、私の名前は出てなかったけどね……………』


 千葉は分かりやすく落ち込んだ。

 男子のエロ話に名前なんて普通出されたくないだろ。普通はな?こいつは特殊性癖で嬉しいのかもしれないが。

 でも、それ以外に理由はある。


『それはひんにゅ……………なんでもない』


『今言いかけたよね!?』


『いや?貧があってって言おうとしただけだよ?』


『嘘!今漢字が明らかに「品」じゃなくて「貧」になってたんだけど!?』


『気のせい気のせい』


『男はおっぱい星人だから嫌なのよ!』


 電話越しにものすごい声量で聞こえてきた。

 おっぱい星人なのは否定はしない。


 男子の大多数は巨乳好きだ。俺は前にも言った通り大きさはあまり気にはしないけど。

 言われてみれば、友達とそうゆう話をしている時は千葉の話題はあまり出てこないな。


 名前が挙がったとしても、『千葉?胸ないじゃん。可愛いけどちょっと口調強いし』『ホント、まな板どころじゃなくて凹んでるまであるよなあの胸部』『うーん、俺もなしかな』このようにボロクソだ。


 これまでの俺だったらその意見に半分同意を示すが、今日でその考えは変わった。千葉はいい表情をするからあり。というか攻めて羞恥に顔を染めてやりたい。氷見谷とやっている時に見て思った。


 にしても、ごめんな千葉。俺含め、男子めっちゃ酷い事を言ってたわ。

 心の中で土下座した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る