第7話 俺の役割ってなんだろう?

「って、これは助手ですらないし!」


 自分の顔の前で手を振る。

 はたから見れば怪しい人だ。


 でもはたから見る人なんていない。

 だってこの食堂には俺一人しかいないんだから。


 さて、俺の職業の能力を考えると、あとはツインテとキンパツがどう動くかにかかっているんだよなぁ。


 俺自身にできることはないか?


 そう思って、無い頭で必死に考えてみる。


 ルール上、人狼を発見する方法は二つだろう。


 一つ、プレイヤーの言動から推理。

 二つ、職業の力で見破る。


 俺の職業の力で見破る事は不可能。

 となると後は言動からの推理しかない。


 『お前もしかして人狼?』


 って聞いて、あからさまに動揺しまくっている奴がいたら、そいつは人狼だ。


 そんなバカな奴がいるかは別にして。


 あとはそうだな。


 ツインテとキンパツが村人だってのは解っているんだし、もしもあの二人のどちらかが大預言者を自称したら信じよう。


 人狼をかくらんさせるためや、自分が疑っているプレイヤーを処刑する為に、大預言者を装う可能性はある。


 でも、人狼がなりすましている可能性が無い以上、少しは信頼してあげるべきだ。

 むしろそうでないと、俺の能力の意味が無い。


「あの二人とチームを組むのはどうだろう?」


 悪くないかもしれない。


 俺はツインテとキンパツが村人だと知っている。


 だから議論が終わった後の自由行動時間に、二人の部屋を訪ねる。


 あの二人は村人だから俺の正体をバラしても俺が狙われる事は無い。


 むしろ、二人の職業を教えてもらえるかもしれない。


 いや、俺が人狼だと思われたら駄目か。


 俺が人狼だった場合。


 俺以外の奴は自動的に全員村人だ。


 だからてきとうな人を二人選んでも絶対に村人。


 俺がツインテとキンパツの二人が村人だと知っている、というのは、俺が占い師である証拠にならない。


 占い師カードを見せればいいけど。


 他人にカードを見せちゃ駄目ってニャルも言っていたしな。


 館内放送が流れたのは、その時だった。


『ピーンポーンパーンポーン♪』


 と、ニャルが口で喋る。

 SEぐらい使えよ。


『ハイハーイ。それじゃあまだホテルにいる人はちゃっちゃと会場に来てくださいねぇ♪ 楽しいゲームの続きをしますよー♪ ピンポンパンポーン♪』


 放送終了。


 え?

 もしかしてもうみんな会場に行ってるのか?

 そんで俺が遅すぎるから館内放送、とか?


 だったら悪い事しちゃったな。

 俺はお皿を流し台に置いて、さっさと会場へと向かった。


「あれ?」


 ふと思った。

 バイキングの料理はどれも温かい。

 昨日の夜に使ったお皿も綺麗に片づけられている。

 という事は、このホテルには、俺ら以外にもちゃんとスタッフの人達がいるのだろうか?


 そんな疑問を持ちながら、俺は食堂から出る。


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ニワトリが飛べないのは才能でも努力でもなく環境のせいだ! 無能な少年と師匠の出会いが、一人の英雄を誕生させる──。

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