第229話 エリート対イケメン?

 初球、外角低めへのスライダー。

 見送ってストライク。

 凄い変化量だ。


 2球目。

 内角低めへのツーシーム。

 これは見送ってボール。


 3球目。

 外角へのスライダー。

 さっきとほぼ同じようなコースだ。

 ファウルとした。

 カウントはワンボール、ツーストライク。


 4球目。

 ど真ん中へのストレートと思いきや、そこから落ちるフォーク。

 鋭い落差だが、何とかバットに当てた。

 追い込まれたらフォークを投げてくることはミーティングで聞いていたし、ビデオの映像も頭の中に入っていた。

 そうでなかったから、空振りしていただろう。

 

 5球目。

 外角へのスライダー。

 これもファウルで逃げた。

 カウントは変わらずワンボール、ツーストライク。


 6球目。

 内角低めへのツーシーム。

 ストライクゾーンギリギリに見えたので、カットした。


 7球目。

 外角高めへのストレート。

 遠く見えるが、これもカットした。

 ワンボールツーストライクのまま。


 8球目。

 真ん中低めへのフォーク。

 バットがでかかったが、何とか止めた。

 キャッチャーがアピールし、球審が塁審に確認したが、手を横に広げた。

 バットは回っていないとの判断だ。

 ツーボール、ツーストライク。


 9球目。

 内角高めへのストレート。

 甘い球に見えたが、微妙に変化した。

 打ち損じてファウル。

 カウントは変わらずツーボール、ツーストライク。


 僕は一度、打席を外して素振りをした。

 そして10球目。

 外角低めへのスライダー。

 手が出なかった。

 しかし審判の手は上がらず。

 正直なところ、助かった…。

 これでスリーボールツーストライクのフルカウント。


 11球目。

 真ん中低めへのフォーク。

 ファールチップ。

 キャッチャーが取れずファール。


 12球目。

 高目の外に逃げていくスライダー。

 これは見極めた。

 ボール。

 フォアボールを選んだ。

 岩城投手は悔しそうに天を仰いでいる。


 ノーアウトランナー一塁で、バッターは8番の高台捕手。

 ベンチのサインは送りバント。

 高台捕手はヒッティングの構えをしているが、大丈夫だろうか?


 初球。

 外角高めへのスライダー。

 高台捕手はバントの構えをし、見送ったが、ストライク。

 


 2球目。

 今度はバントの構えをしている。

 真ん中高目から低めへのフォーク。

 これもバットを引いたが、ストライク。

 おーい。


 3球目。

 ベンチのサインは盗塁。

 高台さんはバットを構えている。

 僕は投球と同時にスタートを切った。

 牽制球は一球もなかった。

 秋保捕手からの送球は、若干ライト側に逸れ、悠々セーフ。

 この間の投球はボール。

 カウントはワンボール、ツーストライク。


 4球目。

 真ん中低めへのフォーク。

 高台捕手は何とかバットに当て、一二塁間に転がった。

 あまり強い当たりでは無いが、打球はファーストとセカンドの丁度真ん中でうまい具合に抜けた。

 僕は三塁を回ってストップ。

 これでノーアウト一、三塁。

 大きなチャンスとなった。


 9番はピッチャーの浜投手。

 普段打席に立たないので、あまりバッティングには期待はできない。

 ここはスクイズもあるか?

 ベンチを見たが、サインは無し。

「打て」と言うことだ。


 初球。

 相手バッテリーはスクイズを警戒して、一球外した。

 これはスクイズを警戒しているという意思表示であり、牽制である。

 泉州ブラックスベンチとしても、これではスクイズはやりづらい。


 2球目。

 真ん中低めへのストレート。

 素晴らしい球だ。

 見送ってストライク。


 3球目。

 外角低めへのスライダー。

 空振りし、これでワンボール、ツーストライク。


 4球目。

 外角低めへのツーシーム。

 浜投手は何とかバットに当てた。

 ボテボテのゴロがファーストに転がっている。

 僕はホームに突っ込んだ。

 ファーストのメンディ選手がボールを捕球してバックホームしてきた。

 僕は回り込むようにして滑り込んだ。

 タイミングは同時だ。

 どうだ。

「セーフ」


 仙台ブルーリーブスベンチはリクエストし、リプレー検証となった。

 球場に映像が流れたが、僕がタッチをうまくかいくぐったように見える。

 すぐに審判が出てきた。

 判定は変わらず、セーフのまま。

 記録はフィールダースチョイス。

 我ら泉州ブラックスは下位打線で1点を挙げた。

 ノーアウト一二塁。まだチャンスは続く。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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