五里霧中、後ろを振り返る
---…ここは…どこだろう…
あれ?いまわたし、たってるの?あるいてるの?…ひょっとして……あぁやっぱり…たおれてた…
だめだ…もうなにがなんだかわからない…なにかからにげなきゃいけないのに、うでもあしもうごかないや…
さっきまであんなにいきぐるしかったのに、いまはそれもらくになってきた…
まちのひとたちのはなしをきいてて…せっかくここのことば、ちょっとわかってきたのになぁ……
そうだ…さいごは…せめてさいごくらいは、わたしのすきなものをみながら………---
時は少し
「……」空と水面がどこまでも広がる美しい空間の中、真白の分情達は黒の話をじっと聞いていた。
「…頼む…!」彼女達は、気位の高い黒が頭を下げる
「……分かりました、あなたの意志を尊重しましょう。」青の言葉に皆が再びどよめく。「さっきも言った様に、彼女を倒せる可能性が最も高いのは黒さん、貴方ですからね。但し、条件があります。」「条件?」首を傾げる一同、青はやがてその条件を話し始める………
再び現実世界。
真白と光がいた場所は彼女達による攻撃、火炎と水、二つの竜巻の衝突により散々たる光景であった。高温の白煙が立ち込める中、真白の髪と目が青く変わり、その
そこは日本とは違うどこか異国の風景…ヨーロッパだろうか…石造りの
「お、気が付いたね!」その白い少女が目を覚ますと、こじんまりとした部屋、
「あ……う……」少女は言葉を発しようとしたが、うまく喉に力が入らない…そのとき、彼女のお腹がぐうと鳴る。
「おや!済まない済まない、お腹が空いていては話どころではないね!待っていて、今一座の子達がスープを作っているんだ。」
「ヒカリ…確かアジアの国、日本の言葉だね。意味は英語で"light"…うん、君にぴったりの名前だ!!」場面が移り、暖かな雰囲気の食卓。ようやく白い少女は話せるくらいにまで回復し、自身の名前を伝えた。「ふむ、外見的特徴は異なるが、君の話によると君は日本が出身の様だ…が、何故これ程離れた異国の地で行き倒れていたんだい?……そうか、何も思い出せないのか……この国の言葉を話せているということは、この国に来て長いか…或いはご家族にこの国出身の方がいるか……いずれにせよ、どうしたものか……」周りの子達から「座長」と呼ばれているその男は頭を悩ませる。
「…せて…」その時、少女が口を開いた。「ん?」「ここにいさせて、なんでもするから!」
急に詰め寄られ、座長は慌ててヒカリを
「ない…」
「……どういうことだい…?」表情は一転、真剣な顔で問い返す座長。そんな彼に、少女は無表情で話し始める。
「かえるところなんてない…だれもいない…わたしには……わたしには…だれもいない………」「………」座長は、まるで魂が抜けたみたいに空虚な目で俯く彼女をじっと見ていた、そして……
「……仕方ない、ひとまずここを仮宿としておくれ。君にとって根無し草の僕らと出会ったことが幸か不幸かは分からないけど、少なくとも情報収集という点では優位に働くだろうからね…我ら小劇団"Emotus"は、君を歓迎するよ!」彼は少女を覗き込み、優しく微笑んだ。「その代わり!質素倹約な生活を余儀なくされるから、その覚悟はしておいてくれよ…!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます