苦い余韻
「目的…だって?」糸は警戒を解かず
「…話すも何も、流した動画の通りだよ…私達エモートゥスは、人類を理性から解放する…その目的の為に、そこにいる裏切り者達には
「お前達がどう
そのまま逃げられてしまう…糸が危惧し冷や汗を流した、その時だった。何かが水面の仮面に当たって取れ、彼女の素顔が明らかになる。
「情力発現、
「!…お前は…しまった、過去を!」「えぇ、ばっちり視ましたよ…貴女達のこれまでと…そしてこれから何を成そうとしているか…その真意をね!」ビルから跳躍して空中で苦無を投擲した瞳、彼女は見惚れてしまうような身のこなしで地上に着地し、糸達と合流した。
「…いいだろう、最早計画を変更する余裕も猶予もあるまい…計画の邪魔をしに来るであろうお前達を完膚なきまでに叩き潰し、新しい世界の
「瞳ちゃん、あいつらの計画って…?」元の口調に戻った糸が瞳に尋ねる。「大丈夫、まだ時間はあります…それより今は暴情の脅威を取り除くことが優先、また街中で暴れ出されては…」「その心配はいりませんよ。」「!真白さん!!」真白がゆっくりと立ち上がりながら瞳にそう告げる。光による傷は真白の「慈しみ」の情力「
「心の中の青さんから連絡がありました。花さんの調合した一時的な特効薬、それを高い所から風に乗せ、色橋市全体に散布したとのことです。各地にいるわたしがそれを確認しています。」弱々しくそう言った真白、その顔はひどく青ざめていた。「但しその薬には、副作用として誘眠効果がある…」
「え…でもそれじゃあ、今街で戦ってるみんなも、その副作用の巻き添えに…」真白は少し笑いながら答える。「ある動作でその副作用が効かなくなるんです…皆さん、右手の親指と人差し指の付け根辺り、そこを左手の親指で少し強めに押してください。」その場にいた者達は皆、真白に言われた通りの行動をとった。
「すごいね、花ちゃんって子…でも…」糸は周りを見渡し溜息をつく。「…大変なことになっちゃったわね…」皆の表情が暗く沈み、八重達は罪悪感からか目を伏せる。
「…一旦例のホテルに戻りましょう、まだ終わった訳ではない、
先程の水面の言動、そして垣間見た彼女の記憶から、八重達がエモートゥスのいいように使われていたことは容易に想像出来た。それに彼女達が根っからの悪人ではないことも、瞳はもう片方の目で確認済みだ…しかし敵側の一員であることに間違いはなく、また甚大な被害を出していることも事実、彼女はその処遇をどうすべきか決め
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