始動
「皆さん、先日振りですね。」
真白達一行に掛けられた声、その主は、
「青さん!」
既にホテルに来ていたブラウエ・トロメルのピアノ担当、そして真白の「哀しみ」の分情である青が、真白達に挨拶をしに来た。
「今はライブの準備ですか?」
「えぇ。それも一段落ついたのでご挨拶を、と思いまして。他のメンバーもまもなく来ると思います…ところで、あちらが分情達のお連れさんですか?」青は真白の後ろ側で談笑している集団に視線を投げ掛け、真白に尋ねる。
「そうです、皆さんそれぞれ個性的な方達ですよ!後で説明しますね…あ!」自己対話の折、ブラウエ・トロメルの者達がぞろぞろと真白達の元にやって来た。
「久しいのお…というほど時間が経っとらんか。息災で何よりじゃ、青の白髪の!」ドラム担当で「喜び」の具情者である
「どーも…それより柔、ドラムが先走りすぎなんだけど?シンバルも曲にしては音強すぎるし…」
「なんじゃ、まだ言うとったんか?分かった分かった、ちゃんと修正してやるから!」「課題はそれだけじゃないのよ!まだ沢山…」
柔と話しているのはベース・チェロを担当する「怒り」の具情者、
「ほーら、人前でケンカしないの!久しぶりね真白ちゃん!感情、全部戻ったそうでなによりだわ!」
二人を仲裁したのは「楽しみ」の具情者、
「ねぇ真白ちゃん…昨日新しい漢方の調合に成功したんだけど、ちょっと飲んでみない?リラックス効果があって、ほんのちょっとの時間ですんごくキモチ良くなれる成分が含まれているんだけど…」
このように、好きあらば治験活動を行う、ちょっと危なめ研究者なのである。以前柔が治験対象となり、飲んだ薬のせいで二時間笑いが止まらなかった、というのは青からの情報だ。
「花さん、
「分情の中でこの場にいないのは緑さんだけですか…まぁ心の中で話が出来るので特に問題はありませんが…今頃は、色橋市の悪人相手に盗みを働いてるんでしょうかね…」
真白の「楽しみ」の分情である
「さて、わたくしたちもそろそろお
青から手渡されたのは、今夜ホテルで行われるディナーショーのチケットだった。「今度はこちらが皆さんを招待します。以前のようなドレスコードはありませんし、変装をする必要もありません。カジュアルなものなので、気軽に見に来てくださいね。」
そう言った青達は、再び準備に戻って行った。残された真白も、手渡されたチケットを皆に配るため、韋駄天達の元へと歩いていくのだった……
日も落ちかかった夕暮れ時。
色橋の中枢に位置する、摩天楼を思わせる巨大な構造の色橋駅。そし道路を挟んだその正面に
「良い所だよね〜色橋。」脚をぶらぶらさせながらそう言った、小柄な方の人物。「…そうか?欲に
小柄な方の者がけらけらと笑う。「
水面、と呼ばれた長身の者は腕を組む。「そんなことよりも…抜かりはないな?」「うん、ちょうど
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