火と炎
「お前がグリーン・バールとやらのメンバーか…」焔が声の主に問う。
「日本語話者か…そういえば、久しく日本語は用いていなかったな…
長らく話してないにしてはえらく
「…いや
「あんたが手にしてるの…
「御明察!形状が良いのでな、
「当方て。」またもや突っ込む焔。
「で、今までそれを使って盗みをしてきたのかい?」血染が尋ねるとその子は「そうだ」と返す。
「そういう貴様も、随分とまぁ立派な獲物を持っているじゃないか…」白髪の彼女は血染の持っていた血の大鎌を指差す。「…具情者か。」
そう言われた血染は口角をつり上げ、目を細める。「その言葉が出てきたってことは、やっぱりあんたも…」じろりと見られた白髪の子はしかし何も言わず、ただじっと二人を見て黙っている…
「情力発現「
唐突にそう言った白髪の彼女は情力を発現させ、手にしていた火鋏から炎を噴射させた。
「な、情力発現「
慌てて焔も構えていた武器を
「おや、情力は使いたくなかったんじゃないのかい?」血染が薄ら笑いを浮かべながら焔を茶化す。
「いや言うてる場合か!あいつ室内やっちゅうのに考えなしに爆炎吐かせよった!それよか怪我無いか!?」
「あぁ、おかげさまでね。」血染は(あんただって防御とはいえ火炎撒き散らしてるじゃないか…)と思ったが、口に出すことはしなかった。「それよりもあの子、どうやら何も盗らずに撤退するみたいだよ。」
血染の見ている方に焔も視線を向けると、白髪の子が情力で壁に穴を空け、今まさに外に出ようとしていた。
「あ、おい待てや!お前には聞きたいことが…」
「
そう言った灯火は大穴を飛び越え、焦げた匂いを残して夜の街へと消えていった。
「炎の情力か…焔、今回はあんたに譲ってやる、多分あんたの方が相性が良い。ここはあたしに任せて、あんたはあの子を追いかけな。」
そう言った血染に対し焔は軽く頷き、「すまん、あとは任せたで!」そう言い残すと灯火の開けた穴を出て、彼女を追いかけて行った。
一方瞳と晶。
「そういえば真白さんと何を話したんですか?普段しっかりしてそうなイメージだったので、あれほど
「大した話じゃないですよ…ただ、真白さんのおかげでとても気が楽になった…それだけのことです。」瞳はそれとなく返答をはぐらかし、晶もそれ以上は何も聞かなかった。
「それで、私達の作戦は?」
「えぇ、前回と同様、貴女には私の後方支援をお願いしたい…相手には直接聞きたいことがありますし…それに何より、気は紛れたと言いましたが、酔狂で盗みを働くような愚か者達に、少々お
「……」晶は少し心配そうに瞳を見る。
(彼女大丈夫かな…持ち味の冷静さを大分欠いてる様に見えるけど…)
「それでいいですか、晶さん?」
「……分かりました、それでいきましょう。」
自分が出張るよりも、いざという時に手助け出来る立ち位置の方がいいかもしれない…そう考えた晶は、瞳の指示に従うこととした…そして…照明が消える。
「!!視界を奪ってきましたか…古典的ですがまぁ、コソ泥の
「大丈夫、暗視スコープで見えてます!」
晶は持参していた暗視スコープを装着している。彼女はその生い立ちから、隠密行動等に役立つ様々なアイテムを常備しているのだ。
「瞳さんこそスコープなしで大丈夫ですか?」
「えぇ、暗闇には目が慣れているので。」
闇の中、二人の声が館内に響き渡る…するとその時、場内に金属音が響き渡った。
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