ドッペルゲンガー
「いやあんた誰やねん!」焔の鋭いツッコミ。「今言ったろう?あたしは
「…申し訳ありませんが、突然現れた
(何なの…彼女が発するこの情念…!?)
嫌な胸騒ぎを感じつつ、ロングカーディガンで腰に隠し差した刀の
そんな彼女を面白そうに眺めながら、血染は話を続ける。「…フ、まぁいいさ。さて、お許しも頂いたことだ、プレゼンを再開しようか…あんた達の目的は、そこの白髪の子の記憶を戻すってことでいいんだよね?」
「聞いとったんかい。」
焔の野次を無視し、血染は続ける。
「そしてその為の仲間を集めてる、そこであたしだ。あたしは結構お役に立てると思うよ?具情者と戦ったこともあるし、普通じゃ手に入らないような、具情に関する情報も持ってる…それこそ、あんた達が求めている情報をね。」血染は芝居がかった
「あ、やっぱし具情者って他にも実例があるんだね!何だぁ〜、今までワタシはこんな面白い概念を見過ごしてたのかぁ〜!」韋駄天驚きの声に、血染は口角を上げる。「なんや胡散臭いやっちゃなぁ、そもそもあんたがうちらの仲間になるメリットはなんやねんな?」
「楽しそうだからさ。」彼女はあっさり答えた…そして更に語る。
「あたしは「楽しみ」の具情者なんだ…つまり喜怒哀楽の内「楽しみ」の感情が一番強いって訳。「楽しみ」こそがあたしの判断基準であり行動理念なのさ…でもここ最近、とんと面白いことがなくってねぇ、そんな時分に…」
「ワタシ達と出会った。」
「その通り。どう?少しは信用してもらえたかい?」
瞳は真白と韋駄天に
「今のうちにこっちサイドに取り込んじゃえ、ってことね。真白、どうする?ワタシは賛成かな、彼女面白そうだし。」「韋駄天さんがそういうのなら」真白が血染に声を掛けた。「よろしくお願いします」
「決まったみたいだねぇ、じゃあ改めてよろしく、えぇと…あんたたちの組織名は何だったかな?」
「組織名?あー、そういえばまだ決めてなかったね、そりゃそうかーついさっき出来たばっかだし。ちょうどいいや、今決めちゃおうか!何かいい案ある人ー?」珍しく韋駄天が自分の意見を言うより先に、皆に意見を求める。
「えー、何でもええやんーAチームとかは?」
「名は体を表すといいます。記憶復元団体、というのは如何でしょう?」焔と瞳がそれぞれ案を出す。
「…あんた達、案外ノリがいいんだね…というか全部ダサ…」血染が半目でツッコむ。それからも各々がいくつか案を出し合うが、中々良い組織名案が出てこない。
「うーん、どれもイマイチピンとこないなぁ……真白、キミが決めてよ!そもそもキミがきっかけで生まれた組織なんだからさ!」韋駄天に言われた真白は、霧が立ち込めたような頭を何とか動かし、適当な名がないかと考えを巡らせる、そして……
「ドッペルゲンガー」
彼女は呟いた。
「ドッペルゲンガー?」「ええ、わたしの…いえ、記憶を失う前のわたしが手帳に、この単語を多く書き残していたんです、だから…ドッペルゲンガーに」真白が無感情に呟いた。
「…へぇ、ドッペルゲンガーか…いいじゃん、気に入った!」韋駄天が指を鳴らしウインクする。
「ドッペルゲンガー…確かドイツ語やんな?和訳すると…」「
「フ…」一方の血染は、何やら意味深な微笑を浮かべている。
瞳は皆を見渡し、そして宣言する。
「それでは皆さん…今から私達五人は組織名「ドッペルゲンガー」の構成員です。そしてこの組織の目的は…真白さんの記憶を取り戻すこと!」
皆が頷き、今ここに具情者集団「ドッペルゲンガー」が結成された。
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