ATLASラジオ収録を終えて

ATLASラジオの収録が無事に終わりました。


とにかく緊張しておりまして、お聞き苦しかったらすみません💦


話は陰陽師の前世の記憶の部分から始まりました。


桜の木の下で月を見ながら亡くなったこと。

そして現代の私が、なぜ惟喬親王の呪詛を破り殺されたと自覚したかの記憶の部分の話になりました。


その記憶を思い出したのは、桜を見に行った際、水面いっぱいに花びらで埋められた池を見た夜でした。


気がついたら息が苦しい。

どこかに囚われていると自覚した時、桜の花びらの下の水の中だと気づいたのです。


そして急に遡る意識。


月を見ながら歩いていた所に、突然何人かの男の人が現れて襲われます。

そして胸を刺される形で、最期の時を迎えます。


きれいな桜の花吹雪と、月を見て果てるのです。



惟喬親王に掛けられた呪詛を破るにあたり、かなり危険な部分まで踏み込んでいました。


周りはそんな私を止めます。

あまりに危険すぎると…しかし、私は止める声を聞き入れることはできませんでした。


惟喬親王がまだ幼い頃、守ってくれと託された使命よりも、親王が政争の道具としての生涯を送る事を危惧し、当時の親王を取り巻く動きに憤りを感じていました。


それは父母を奪われたのと同じ感覚。


他人によって自分が望む人生を奪われるという事が、私の中では到底納得できず、それら全てから惟喬親王をお守りする事で、私の中で何かが変わる気がしていたのでした。


それは覆す事ができない未来だったのかもしれません。


それでも自分の役目に没頭する事で、不浄な思いを少しでも軽くしていたのかもしれません。


そんな中、秘密裏に動いていた案件が、世に蔓延する穢れを封じる事でした。


それは誰から命じられたものなのか…。

はっきりとした記憶はありませんが、おそらく神を降ろせる者から伝えられた神託だったのではないか?と思います。


そう、今の私たちの様に…。


平安京から見た時、現代の東北地方にあたる奥羽は都の鬼門に当たり、荒ぶる自然の神とそして圧倒的な力を秘めた土地でもありました。


かつて奥羽を制して平定する為に田村麻呂将軍が派遣されたのと同じ様に、しかし秘密裏に動いておりました。


この事を知っているものは、ごく僅かな仲間だけ。


大きな穢れを封印したその場所を特定され、逆に呪詛などに利用されることを恐れたからです。


その道のりは決して楽なものではありませんでした。

そして未開の地に向かうには、お守りする惟喬親王から離れなければならない…。


しかし、それを含めても多きく膨らみすぎた不浄な穢れを封じなければならなかったのです。

穢れにより世が破滅しかねない時だったからこそ、神の力が宿る地を目指したのです。


連れは3人いました。


しかし奥羽の厳しい大自然の力に圧倒され、途中で亡くなった者が一人。

まさに命をかけてまでやり遂げなければならなかったのです。


その封印の地には十和田湖を選びました。

十和田湖は、多くの穢れを封じる為の神の力が宿る地でもありました。


そして十和田湖に穢れを封じてから数年の月日が経ち、私は運命の日を迎え、桜の下で命を落としました。


しかし私が死んだことを受け入れられなかった存在が二人。


一人は神と呼ばれし龍神。


もう一人は【翡翠】。

私が唯一心を許し、共に歩んだ仲間でした。


龍神は私が転生する事を信じ、時代を超えて探しましたが、翡翠は私の死が受け入れられず、闇の世界に傾倒していったと聞いています。


この世を恨み、世界の破滅を願い、果ては永遠の力を手にしようとしたのです。


翡翠は人を超えた存在=神に成り代わろうとし、その力を得る為に、十和田の穢れの封印を解こうと思い立ちます。


しかし、そんなに簡単には解く事はできません。

龍神の力とその土地の神の力を借りての強力な封印です。


何年、何十年とその封印を解く事はできませんでした。


しかし、翡翠は諦めませんでした。

人である故に命が有限なら、人である事を捨て、肉体を捨て、永遠の生命を得て、何十年、何百年かかろうとも、必ず十和田の封印を解かんと決意したのです。


永遠に生きるとは、二つの選択があります。


肉体を捨て、悪鬼悪霊と成り果ててでも永遠を望むか。

肉体は朽ちても、未来を信じて思いを託すのか。


強烈な過去の思いは、未来を変える奇跡を生むのです。


わかりやすい例えをするならば、偉人の考え方を書にすることで、知識を未来に託し、知識の礎として、永遠の時を生きるのに等しい存在になれるのです。


そして時代を超え、この現代で迎えた翡翠との再会。


翡翠は多くの闇の者を引き連れ十和田湖に自ら沈み、湖に君臨する魔物に成り果てていました。


そして十和田の神々の目の前で多くの人命を奪い、己の力を誇示します。


人間を救いたくとも救えない神という存在を嘲笑うかの様に、皆既月食の起こったある日、十和田胡で同じ日に3件の心中事件を引き起こしました。

その一つがダイナマイト心中だったのです。


その後も人の闇につけ込み、絶望させ、自ら命を絶たせる事を繰り返します。

結果神々は、目の前で消えゆく命を救えない現実を前に、無念の歯噛みを続けなければならなかったのです。



遥か時空を超えて、闇と光の対決は、何度も人々に託されてきました。

例えば江戸時代の黒耀さんと、遠舞兄弟のように…。


運命の悪戯で翻弄されし兄弟の結末は、巡り巡って更なる大きな因縁となり、解決できないまま今の時代にまで持ち越され、未だにその課題は膨らみ続けています。


「歴史は繰り返す」とは、「課題のやり直し」の事なのです。


だからこそ、強い使命として、強い意識として突き動かされた結果、今の私があります。


私の代で解決させなければ、この因縁は次の時代へと持ち越されます。


それは更なる困難として課せられる苦難の未来であり、私は黒曜さんの意識を通じて、この事を知らされたのです。


幸いにも私には仲間がいました。

多くの謎を解き、共に戦ってくれる仲間が揃いました。


おそらく今の時代がこの因縁を解く最期のチャンスだと感じたのも、仲間の存在があってこそなのです。



ATLASラジオの放送は2022.6.27.28となります。

そして収録の日こそ、一年前初めて十和田に訪れた日でもありました。

それさえも運命を感じるのは、私だけでしょうか?

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