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三人が木登家の玄関まで行くと、そこにはさなぎのお姉ちゃんである木登みらいが仁王立ちをして待っていた。
みらいはいつものようにその綺麗な顔を怖い顔に変えて、(目はつり目になっていた)やってきた三人、とくにさなぎに向かって、とても威圧的な雰囲気を醸し出している。
見るだけでわかる。
明らかにみらいお姉ちゃんは怒っていた。(それもかなり怒っている)
のぞみさんから聞いた話によると、電話に出てくれたのはみらいお姉ちゃんだったようだ。(お父さんは今、お仕事で外出をしているようだった。それはいつものことで、さなぎも、たぶん、お姉ちゃんが電話に出てくれたのだろうと思っていた)
「初めまして。電話をかけたお隣に住んでいる隣人の木原のぞみです。これからも、よろしくお願いします」
にっこりと笑いながらのぞみさんがみらいにそう言った。
するとみらいはずっとしていた怖い顔をぱっと(よそ向きの)とても眩しい笑顔に変えて、「いいえ。こちらこそ、うちのさなぎが迷惑をかけて本当にすみませんでした。これからも、よろしくお願いします」と言って、深々とその頭を下げた。
それから頭を上げたみらいはのぞみと一緒になって、さなぎを挟むようして立っていのはらを見る。
のはらもみらいのことをじっと見つめる。
そんな二人のことを見て、さなぎは変だな、と思った。なぜなら、いつもならさっきみたいによそ向きの笑顔をしているはずのみらいお姉ちゃんがのはらさんに対してはなぜかさなぎを見るような、とても怒った顔をしていたからだった。
その反対にのはらは笑顔。
のはらはその顔を笑顔にしたままで「はじめまして。木原のはらと言います。年齢は十一歳。小学五年生です」とみらいお姉ちゃんにその右手を差し出しながら、挨拶をした。
「……のはら?」とみらいお姉ちゃんはいう。
それからみらいお姉ちゃんはのはらの隣にいるさなぎに(怖い)目を向ける。
そのお姉ちゃんの怖い目を見ながら、こくん、とさなぎは小さくみらいお姉ちゃんにうなずいた。
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