第20話 戦闘開始!!

「2人ともあそこの路地裏見てくれない?」


「路地裏ですか? -ん? 誰かいるな? ミゲル見えるか?」


「―ん? 子供が男たちに詰められてる!?」


 やはりそうだった。僕の見間違いだとよくないから、2人にも見てもらうことにしたのだ。あれはどう考えてもよくない状況だ。助けないと!


「あの子を助けたい! 僕があの男たちから子供を助けに行くから、アレクは詰め所に行って、応援を! ミゲルは父上の所に行って現状報告と対応を急いでもらって!」


「そんな!? カイル様1人じゃ危険です! 俺も戦います!」


「そうです! ここは3人で戦う方がいいはずです!」


「いや、このまま3人でいったとしても、向こうにもし味方がいれば手遅れになる。そのためにはできるだけ対応を急いでもらう必要があるんだ! できるよね?」


「でも……」


「急いでくれ! これでも僕は鍛錬を積んできたつもりだ!」


「そこまで言うなら……」


「負けないで下さいよ!」


 2人はそう言うとすぐに駆けていった。アレクもミゲルも完全には了承してない感じだ。なんでか分からないけど僕一人でも行ける気がしたから2人には尤もらしい理由をつけて行ってもらった。僕も生まれてからだらだらと生活をしてきた訳じゃない。この5年半で自分がどこまで成長できたのかを試すのに最適なシチュエーションだ。さぁ。2人が了承してくれたんだから僕も一刻も早く助けに行かなくては……



 路地裏に近づくにつれ、様相がはっきりしてきた。


 詰められているのは僕と同じぐらいの幼い女の子だ。対する男共は、3人で、大柄。身長は大体180前後ってところだな。でも、全員才能は良くてCレベル。いや、1人だけBがいるか。でも【鑑定】で気になるところがあった。それは全員の肩書に――


肩書:アイルヘイロン 構成員


――と書いてあったことだ。つまり、こいつらはどこかの組織に所属していて、その任務の一環として子供と対峙している可能性がある。そうなると俺が二人に応援を呼ぶよう言ったことは一定程度効果があるってことだな。まあいい。とにかく今はこの戦いに勝つことに意識しよう。


「おい! お前等! 何をしている!」


「あぁ!?   なんだお前? 只のガキじゃねーか。正義の味方みたいなことがしたいんなら他を当たれ。俺等は遊びじゃねーんだよ!」


答えた男はその3人の中では一番強そうな見た目をしている。スキンヘッドで、片手には剣を持ち、普通に話しているように見えて隙が無い。


「ガキで悪かったな。何をしていると聞いている」


「何をしてるかって? 見りゃ分かるだろ。人攫いだよ。奴隷にして売り飛ばすんだ。早くどっか行かねーとお前も攫っちまうぞ!? ギャハハハハッ」


「そんなことをして許されると思っているのか? 攫って奴隷にするのは法律で禁止されているはずだ。」


「許されようなんざ思ってねーよ。それに、どの国でも違法奴隷を買いたがるもの好きがいるから商売には困らねー」


「まぁいい。その愚行もここまでだ。その子を離してもらおう」


「ハハハッ。まさかお前1人で救おうってか。こりゃ飛んだバカだ。 おい! お前等! やれ!  せいぜい足掻くんだな」


 こうして僕のこの世界での初の戦闘が幕を開けた。


―しかしその戦闘を物陰から見ている者がいた......

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