7. 類は友を呼ぶ

 さっきから鳴っているのは、電話。

 デジタルなものはあまり好きではないから、黒電話。

 でも、黒電話の受話器に付けてるリストバンドのおかげで、

 お店いっぱいに「ヘタレ三堂さんどう」の大画面が。

「またアイツか…」

「ボク、そのヒト助けたくないです」

 かなり嫌われたものだな…。

 三堂くんは、単なるヘタレで素直なイイヤツだぞ。

「俺、行こうか?」

「いや、いいよ」

 玲音れいんがいるから、呼んじゃったんだろうな。

 類は何とかを呼ぶと言いますから、ね…。

 そして、受話器を取る。

「はい。志井しいで…」

『武器屋さん、助けてぇー』

 情けない声が響き渡る。

 ダメージを見る限り、今の俺では危険な場所にいるのか。

 助けるけど、ね。

「はい。助け…」

 受話器を奪われて、

「助けませんっ!」

 そう言って思いっきり切ったのは、バイトくん。

「志井さん、ヒトが良過ぎますっ!」

「常連さん助けるのは、仕事だろ…?」

 助けてって依頼されたら、助けるだろうが。

 知らないヒトではないから。

 断る理由がない。

「助けるの度合いが、違うだろ…」

「このレベルだと、確実に今の志井さんならば亡骸なきがらで戻って来ますっ!」

 確かに、須貝の言う通り、今の俺が行っても助けようがない。

「死ぬかも知れないのに助けに行くって、真性のドMだな…」

 そう言いながら玲音が魔方陣書いてくれたおかげで、すぐに到着できそうだ。

「志井さん、ドMだったんですかっ?」

 バイトくん、愚問だ。

「どうだろう…」

「どうだったかなぁ…」

 玲音の小脇に抱えられて、

「玲音、お前が知るワケ…」

 集中する玲音に向かって、そう呟いた声に反応されて目が合った。

 知ってるよ。

 玲音がそう囁いたのがきっかけで、鮮明に思い出した。

「では、いってきます」

「いってきます」

 そうか…。

 玲音が初めての彼女ヒトだったから、知らないワケない。

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