6. 武器マニア

「よーの、コレさぁ…」

「……ん?」

 陽之ひろゆきだと訂正するのも面倒なので、テキトーに返事する。

 幼い頃から俺のことを「よーの」と呼ぶ玲音れいんは、術士なのに武器をこよなく愛する。

 だから、玲音には嘘言えない。

「……いるの?」

「どうだろう…」

「商品ですよ。いるに決まってるじゃないですか…」

 バイトくん、相変わらず玲音には厳しい。

 女性客には厳しいのだが。

 でも、玲音は筋肉質な体を隠すように大きめの服を着ていて、顔はどちらかというと中性的な顔立ち。

 ここまで厳しいのは、やはり多額のツケがあるヒトだから、なのか。

 玲音は超初心者用の弓矢を触りながら、黒ブチ眼鏡を光らせる。

「でも、殺傷能力ないでしょ?」

「わかんない…」

 狩りに行かないもん。俺。

志井しいさんっ!営業妨害ですっ!」

 玲音は微笑みながら、

「よーの、趣味変わったぁ?」

「俺は以前と変わらず」

 器がこんなになっただけで、中身は変わらん。

「……そう?」

「そうだよ」

 確かに今、バイトくんに抱きかかえられているのは事実だが。

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