499.いろいろ忘れてた

 ……桂木さんにサラダチキンを渡すのを忘れていました。いや、なかなか会わないなと思って冷凍はしてあるんだが、冷凍しちゃいけなかったかもしれない。


「あー……」


 桂木さんとこの分は改めて頼むことにした。で、木本医師に持ってきてもらうことに。もう開き直った。運搬費用は払います。(養鶏場と獣医さんには連絡した。ごめんなさい。ごめんなさい)

 それで後は木本医師が来るのを待つだけだと思っていたんだけど、相川さんからLINEが入った。


「佐野さん、まだ僕、桂木さんたちにお礼をしていないんですよね」


 お礼? と首を傾げてから思い出した。


「あ」


 GW中にN町へ行って助けてもらったことだ。


「どうしたらいいでしょう。やっぱり直接お礼の品を届けに行った方がいいでしょうか」


 本来ならその方がいいとは思う。でも相川さんは妙齢の女性がとても苦手なのだ。桂木姉妹に相対して倒れないかどうか不安らしいと聞き、心療内科とか行った方がいいんじゃないかなと思ったりもした。

 まぁでも今すぐ心療内科にかかったとしても明日には改善するというものでもない。


「……付き添いましょうか。もしくは……お礼ってことでうちに来てもらいます?」


 桂木さんの家に行くにはやはりまだハードルが高そうだ。かといってうちの中もそれほど広いとはいえない。


「聞いてもらっていいですか? 佐野さんちで料理することならできそうです」


 お礼の品を渡して、お昼ご飯をうちで振舞うなら十分お礼にはなるだろう。桂木さんちに直接行ったら桂木さんがごはんを作ってくれてしまうかもしれないしな。こっちがお礼をするのに桂木さんに料理をさせては本末転倒だ。


「聞いてみます」


 桂木さんにLINEした。


「相川さんと、先日のことでお礼をしたいんだけどいつなら空いてる?」


 即電話がかかってきた。


「えっ!? お礼ってなんのことですか?」

「GW中のことだよ。相川さんがナンパ? みたいなのに遭ってただろ」

「あー……あれ。でも、お礼してもらうことじゃないですよ?」


 普通なら俺も同意するが、相手は妙齢の女性が苦手な相川さんなのだ。


「それじゃ相川さんの気が済まないみたいなんだ。だから気軽に受けてほしいんだけど」

「あ、ちょっと待ってください。確認したいので一旦切りますねー」


 と言って電話が切れた。で、またすぐかかってきた。どうも相川さんからLINEが入ったのを確認したらしい。相川さんも俺にまかせっきりは悪いと思ったのだろう。


「佐野さんちで相川さんの手料理を振舞ってもらえるとかなんのご褒美なんですか!」


 声が黄色くなっていた。ちょっとうるさい。


「しかも佐野さんちに行くっていったらアレですよね? ユマちゃんの様子も見られますよね!」

「あ、うん。そうだね」

「ユマちゃんが今どうしてるか知りたかったんですよ~。でも押しかけてってストレスになったら悪いなーって思って言い出せなかったんです!」


 確かに、自分が動けないところに人がわらわら来たら嫌かもしれない。俺、ユマにそういうこと聞いたことなかったな。気づかないにもほどがあると内心頭を抱えた。


「リエと一緒にってことなんでお邪魔させていただきますが、早めに帰るので!」

「あ、うん。それは気にしなくていいよ」


 とは言ったけどユマには言っておいた方がいいだろう。三日後に来ることになった。


「ユマ、三日後に相川さんと、桂木姉妹が来てうちでごはんを食べたりするんだけど、いいか?」

「イイヨー」

「うるさくなっちゃったりするかもしれないけど……」

「ダイジョブー」

「ユマああああ~~~っ!」


 なんてかわいいんだ。そんな簡単に返事しちゃだめだろって思うけど、俺は相変わらずユマに甘えっぱなしである。


「ちょっと畑行ってくるな!」


 せめてユマに新鮮な野菜を食べてもらわなければ! と張り切った。小松菜がまた少しできていた。かき菜とか小松菜は本当に便利だ。いくらでも生えてくるから優秀である。


「アブラムシ?」


 なんか姿が見えたのだ。

 また無農薬農薬を作らねばならないかな……でも今はユマが家にいるんだよな……。炭焼き小屋の側で一斗缶と鍋使って作るか?

 手順を思い出しながら材料がうちにあるかどうか考えた。植物は動けないのだ。対処は早い方がいい。というわけで四苦八苦しながら外で無農薬農薬を作った。この刺激と匂いさえなければなぁ。でもこれだから虫が嫌がるんだもんな。道具を取りに家の中に入ったら、


「クサーイ!」


 とユマに怒られた。ごめんなさいごめんなさい。でも野菜をおいしく食べる為なんです、許してください。

 しっかり作業着に匂いが移ってしまったようだ。おかげで俺は昼間からシャワーを浴びる羽目になった。どーせまだ汗だくになるんだから夜もシャワー浴びないとだよなー。面倒だなぁ。

 家の窓という窓は開けてあるからそれほど暑くはないけど、外から入ってくるとやっぱ暑く感じる。


「ユマ、暑くないか?」

「アツイー、ナイ」

「暑かったら言えよ~」


 なんだかんだ言っていつも外にいたんだしな。

 無農薬農薬を作って、畑に撒いたりしたらそれで一日が終わってしまったかんじだ。(もちろんいろいろ家事はしている)

 やること山ほどあるんだがなぁ……。


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