455.相変わらずやることはいくらでもある
カレーは正義だ。(まだ言ってる)
そういえば以前スーパーでカレーセットなる野菜をカットしたのがまとまっていたものを売っていた気がする。あれとカレールーがあればうちで簡単に作れそうだ。肉はもちろん別に買ってくるけど、根菜って皮剥いたりするのが面倒なんだよな。
桂木さんのところからかき菜とからし菜をもらってきた。ありがたい。さすがにからし菜は俺用だ。かき菜はニワトリたちが喜んで食べるから少しだけ分けてもらった。
からし菜を茹でてサラダチキンをほぐして和えて食べた。うまい。スモークチキンうまっ。なんかハーブみたいなのが練り込んであるのはそのままもりもり食べた。つーかいくらでも食べられるなこれ。
サラダチキンは多めにもらってきてあるので、相川さんち用もある。
明日は墓の上の、山の神様のところへ続く山道の整備をする予定だけど、その前に川も見てこようと思った。ザリガニがまだいるようならリンさんを呼べるしな。その時にこのサラダチキンも渡してしまえばいいだろう。
桂木さんからLINEが入った。
「スモークチキンとってもおいしいです! リエがもっと食べたいって言ってるので、もう売られているなら買いたいです!」
「それはよかった。聞いておくよ」
さすがにもう遅い時間なので明日の朝電話することにした。口に合ったみたいでよかったよかった。実際においしいよな。
翌朝は起こされないで済んだ。俺の部屋の窓を開けて風を通す。布団も干す。
さすがにそろそろ部屋に戻ろうと思った。
ポチとタマは朝飯を食ったらツッタカターと遊びに出かけた。
「気を付けて行ってこいよ~」
声をかけたら、クァーッ! とポチから返事があった。うん、うちのニワトリはイイ子だ。
松山さんに電話をかけて、スモークチキンは好評で買いたい人がいると伝えた。
「あら、それは嬉しいわね~。佐野君にあげた塊で200円ぐらいを考えてるんだけどどうかしら?」
「いいんじゃないですか? 俺としてはもう少し高くても適正価格だとは思いますけど」
「そう? 事前に数を聞いて、取りに来てくれるなら一つ200円で売るわ」
「わかりました。相川さんにも聞いてみるので、また連絡します」
「ありがとうね~」
松山のおばさんはとても嬉しそうだった。俺も嬉しくなる。
「ユマ、川見に行くぞ~」
「ハーイ」
一緒に近くの川を見に行き、アメリカザリガニの姿がないかどうか探す。清流だからよーく見れば、いれば見つかるはず……と思って眺めていたら、木々の間から入ってきた光で水の下がキラキラと光った。
「あっ、魚だっ!」
小さかったしすぐに見えなくなってしまったが、あれは確かに魚だった。去年はザリガニがすごくて全然見つからなかったと思う。来年は川魚が上がってきてくれたらいいなと思った。
上流に向かってしばらく歩いていく。
「ユマ、ザリガニがいたら教えてくれ」
昨年かなりたくさん見つけたから、今年もいればわかるだろう。ユマは川を見ていたが、フイッと首を巡らしたかと思うと俺の側でどこかをつついた。
「? わぁっ!?」
ヘビだった。確かにヘビがいてもおかしくはなかったよな……。
おそらくマムシ、だと思う。
ユマが咥えたままコキャッと首を傾げた。
「ユマ、ありがとう……食べていいぞ」
許可を出してそっぽを向いた。ガツガツとなんか音がする。うん……俺が噛まれなくてよかったと思おう……。ちょっと遠い目をしてしまった。暖かくなってくると油断は禁物だな。
その後はいつも通り川の側を歩き、ユマがザリガニを見つけたりした。
「今年は……そんなにいないのかな……」
昨年はぎりぎりまで獲ってもらったもんな。でもまだ範囲としてはそんなに見ていないから、明日は別の川を見てこようと思った。サワ山という通りこの山は川が多いのだ。
午後は墓参りがてら山の手入れをしにいった。今日は入ってもいいらしい。あんまり長時間やっててまた雨が降ってくると困るので作業はほどほどにする。
つってもほぼヤブを少し払うだけで終わってしまった。先は長いぞ、しっかりしろ自分。
神様がそれでいいなら、急ぐ必要もないといえばない。
やることがあるだけいいか、と思うのだが、なんかやってないと落ち着かないというのも確かだった。書類仕事とかは嫌だが、どうやら身体を動かす作業は好きみたいだ。何かを作るとかには向いていないが。
ポチとタマが帰ってきて慌ただしく夕飯の準備をしていたら、相川さんからLINEが入っていることに気づいた。
なんだろう、と確認したら、写真が。
「シイタケがやっと採れるようになりました~」
どうやら相川さん、実はシイタケの原木栽培をしていたらしい。
原木ってどれぐらいかかるんだっけ? ひのふのみの……と指を折ってみて、そういえば相川さんはもうこっちに来てから四年が経つんだよなと思った。
「うわー! すごいですね、おいしそうです!」
と返した。シイタケは大好きだ。
「いっぱい獲れそうなのでお裾分けしますよ」
とすぐに返ってきた。
きのこ栽培キットとか持ってるのは知ってたけど、シイタケの原木栽培までしてたなんて。楽しそうで何よりだなと思った。
「そういえば松山さんからサラダチキンの試供品をもらってきてるんです。よろしければ持っていきますよー」
とLINEして、さっそく明後日にでも相川さんのところへ向かうことになった。
まだ四月だけどシイタケって採れるものなんだな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます