第16話
「……ねぇ。何をしているんだい?」
アルミスが呆然と、ジト目で僕のことを見ながら聞いてくる。
「ん?見てわからないのかい?」
「いや、わかるよ。でも……わかりたくないんだ。……はぁー」
アルミスが深々とため息をつく。
「どんどんこいつに汚染されているよ……。今じゃこんな光景を見ても、強い感情が湧いて出てこないんだもの。ものすごく落ち着いているよ……俺は」
なんとも言えない表情のアルミスが僕、僕たちのことを見てくる。
四つん這いになっているマルジェリアに、せっせと僕に給仕をしているミリア。そして、今僕が嗜んでいるパフェと紅茶を置くテーブルになっているアレリーナ。
「なんでこんなことになっているんだ?」
「いや、罰ゲーム。僕対ミリアとアレリーナの模擬戦で僕が勝ったから」
僕とミリアの訓練。そして、途中からアレリーナも加わった三人の訓練。
その一環として一対二の戦いをしたのだ。普通にやるだけではつまらないから、負けた側は勝った側の言うことを聞く、というルールでやっていたのだ。
「なるほど……君ならばそういうこともあるよね。そ、そこの理事長は……?」
「え?あー、こいつは……ほら、駄目人間だから」
僕は笑顔でマルジェリアのお尻を足蹴りする。
「くっ……こ、これは、これで新鮮で……!」
それに対してマルジェリアは頬を赤らめ、そんなことを宣っていた。
……んっ。
「ちょっとまって!?何を!?何を見せられている!?絶対に開いてはいけない扉の前に立っていることに気づいて!?」
そんなマルジェリアを見てアルミスは悲鳴をあげた。うんうん。やっぱりアルミスは悲鳴を上げてこそだよね。
「……生きる伝説が……俺は結構ガチで憧れていたのに……夢がぶち壊れているよ……」
「可哀相に」
「全部お前が元凶だけどな!?」
アルミスが僕のことを指さして叫んだ。
失敬な。そもそもアルミスが僕に絡んできたのが最初だというのに……。
「……はぁ、はぁ。何よりもムカつくのはこいつに慣れてきた自分が居るということだ……。受け入れてきてしまっている……」
「くくく、良いではないか。僕の色に染まるが良いよ」
「嫌だよ!誰がお前の色になんか染まるか!」
アルミスが僕を睨みつけ、叫んだ。
「はぁはぁ。お前と居ると疲れる……。生徒会長が呼んでいる。行くぞ」
「ん?あぁ、構わぬ。……あぁ。これらも必要か?」
僕はミリアとアレリーナを指差す。
「あぁ、当然だ」
「だってよ。じゃあ、行くぞ」
僕はマルジェリアという席から立った。
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