第19話
「いやぁーさっきの出し物は実に面白かったよ?」
Aクラスの教室へと来た僕のすぐ後に教室に入ってきた男は僕に気軽に話しかけてくる。
「こっちは面白くなかったよ」
こいつはゲームに一応登場してはいるものの、大して出番がないどころかちょろと映ったかな?程度しか出ていない。
こいつなら関わってもいいだろう。
「全く……面倒なことこのうえなかったよ」
僕はため息をつきながらそう話す。
「それで?結局嘘をついていたのかい?」
話しかけてきた男は一切遠慮せず率直に尋ねてくる。
「後ろを見て?答えられない。これが答えだよ?」
僕は男の後ろ、このAクラスに近づいてきているリーリエとラザリアを指さして告げた。
「くくく、なるほどね」
それだけで男は察する。
いや、察せなかったらヤバいが。
「むしろ当然でしょ?」
「あぁ、確かに当たり前だな!堂々としすぎていて、説得力が出ていたよ」
「おぉ?それは良かったよ」
僕と彼は共に話ながら自分の席を確認し、自分の席につく。
彼の席は僕の前と非常に近かった。
彼は早速後ろに振り返り、僕に話しかけてくる。
「そういえばまだ名前を言っていなかったね。俺はアルミス・レンテンベルグ。お前は?」
レンテンベルグ……侯爵家か。
ちなみにだが、アレイスター家の家格は侯爵家なので、一応同格ではある。
アレイスター家の領地はクソ雑魚だけど。
「僕はエルピス・アレイスターだよ」
「アレイスター家?あの?」
「うん。そうだよ、あのだ」
僕は困惑したような男、アルミスを見て笑う。
「……ッ!?」
どうやらアルミスは勘が良いらしい。
僕の笑顔を見ただけで僕が普通じゃないと察したようだ。
……笑顔に込めてほんの些細な殺気を感じ取るとは……多分一度は本気の殺し合いをしている人間だろう。
「な、なるほど……どうやら君は興味の尽きない相手のようだ」
「それは僕も言えることだよ?」
アルミスの言葉に対して僕も笑顔を浮かべ、アルミスの頬を撫でる。魔力を揺らすように。
「……」
アルミスから表情が抜け落ちる。
「くくく。これから仲良くしようね?」
「……あぁ」
僕の言葉にアルミスは頷いた。……面白い。わざわざ自分に幻術魔法をかけているとは。
「失礼しますね」
僕は楽しくアルミスと会話している時、冷たい声がかけられる。
「……は?」
僕は声がした方、隣を見る。
僕の隣の席にリーリエが腰を下ろしていた。
……え?マジで?
「それで?お二人は何を?」
「おーい。集まってるかぁー」
リーリエの刺々しい言葉と同タイミングで先生が教室に入ってきた。
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