第7話 なんて告白したんだろうね

「ねーねー茜ちゃん。ミチルちゃんたちがイチャイチャしてるよ」

「そうだね。可愛いね」

「付き合ったばかりだから、新鮮で可愛いね」


 早苗も茜も嬉しそうにイチャイチャしている二人を見つめている。

 まだ照れくさいのか素直になりきれていないミチルも可愛いし、そんなミチルを甘やかしている渚も可愛い。


「その保護者みたいな目は止めなさーい」


 恥ずかしかったのか居心地が悪かったのか、それを誤魔化すようにミチルは声を荒げる。


 渚と付き合ってもいつも通りのミチルで早苗は心の中で安堵した。


「それで二人ってどっちから告白したの」

「ぶっ……ゲホゲホ。藪から棒になんなの」

「それあたしも気になるかも。ミチルと渚、どっちから告白したの」


 適当にケーキを食べながらケーキの感想を話した後、早苗は今まで気になっていたことをミチルたちに質問する。


 カップルになったということは、必ずどちらかが告白したということである。


 早苗も多感な高校生である。


 そういう恋バナは大好物だ。


 不意を突かれた質問に、ミチルは動揺のあまり飲んでいた飲み物を詰まらせ、咳き込んでしまう。


 それに追い打ちをかけるかのように茜も、どっちが告白したのか興味津々だった。


「別にあたしは話しても良いけどミチルはどうかな?」

「う~……二人は特別だから話すのは良いけど、その代わり絶対に笑わないでよね」

「分かった。約束する」

「あたしも笑わない。真面目に聞くよ」


 渚は特に抵抗感はなさそうなのだが、ミチルは恥ずかしいらしく、一回悩んだが条件付きで話すことを決意した。


 もちろん、早苗も茜も人の告白を笑うほど人として落ちぶれてはいない。


「大丈夫だよミチル。二人はそんな人間じゃないよ」

「それは分かってるけど……」


 渚もミチルも、早苗と茜が信頼できる人間だということは分かっている。


「それじゃー言うね……ってやっぱり友達でも恥ずかしすぎる……」


 一度覚悟を決めたミチルだが、告白した時のことを思い出したのか顔を真っ赤に染めて照れている。


「ミチルっていつも堂々としているのに、プレッシャーに弱いよね」

「うんうん。でもそんなミチルちゃんも可愛いからオッケー」

「そうだね。それがミチルらしいと言えばミチルらしいけど」


 照れて口ごもるミチルを見て、茜と早苗はそのギャップに萌えている。


 いつもはハキハキと物を言うのに、照れたり恥ずかしがると口ごもるギャップが可愛い。


「なんて告白したんだろうね」

「気になるね。この感じだと告白は渚からしたのかな」


 早苗も茜もミチルたちの恋バナに興味津々でいろいろな妄想が広がっていく。


 その興奮のあまり、早苗は甘えるように茜の腕に抱き着く。


 茜も早苗が自分の腕に抱き着くのはいつものことなので、全く気にしてはいなかった。


「ミチルが良いならボクが話すけど、どうする?」

「……お願い」

「分かった。恥ずかしがってるミチルも可愛いよ」

「……馬鹿」


 ミチルが恥ずかしがって口ごもっていると渚が助け舟を出す。


 渚にだけに甘えるミチルは、早苗から見ても可愛らしい。


 渚も早苗と同じことを思ったらしく、愛の言葉を囁くとミチルに暴言を吐かれる。


 でもそれが照れ隠しということは、この場にいた全員が分かっているのでますます可愛かった。


 その後、渚はミチルとの恋バナを話し始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る