第167話 10mの壁を乗り越える男

目の前に10mの高さの壁があったとしよう。

これをどうやって乗り越えるか?


いくら体を鍛えても飛び越えるってのは無理だ。

たとえ棒高跳びのオリンピック選手でも10mには届かない。


しかし、この壁に向かって階段をつくったらどうだろうか?

1段ずつ昇れば、高齢者だろうが幼児だろうが乗り越えるのは簡単だ。


何かを成し遂げるためには小さく刻んだ目標を1つずつクリアするのが得策だと思う。

ちょうど1段ずつ階段を昇って10mの壁の上に立つように。


で、現在のオレにとっての10mの壁が英語のリスニングだ。


たしかに普通の人に比べればオレには多少の英語のスキルはある。

3年間アメリカで暮らしていたのも無駄ではない。

しかし、自分で満足がいくかというとさっぱりだ。


リスニングでこのレベルに達したいな、という自分自身のゴールはいくつかある。


洋画を字幕なしで見て理解すること。

外国人同士の超高速英会話を理解すること。

スタンダップコメディアンの英語を聴いて笑うこと。


そんなところだろうか。


で、YouTube でリスニングの勉強を始めた。

まずは教材選びだ。

検索するときに「4分未満」とか「字幕」というのを選ぶ。


で、聞き流すよりは机に座ってパソコンで真剣に見る。

スマホでは字幕が小さ過ぎて読めたものではない。


主に最近のニュースが興味深い。

例えば以下の話題だ。


トランプ前大統領のマル・ア・ラーゴの別荘が家宅捜索を受けた。

宇宙船スペースXの破片がオーストラリアの田舎に落ちた。

インドの人口が来年には中国の人口を抜く。

アメリカやイギリスでサル痘が流行している。

ヨーロッパの干ばつがひどい事になっている。

ナンシー・ペロシ下院議長が台湾や日本を訪問した。


英語圏で取り上げられている話題は、日本のメディアとはかなり違っている。


興味のある話題でも、何のヒントもなしで聴いて理解するのは大変。

だから英語字幕を見ながら聴いている。

知らない単語や曖昧な単語が出てきたら、その場で調べる。


トランプ大統領の家宅捜索だと、こんな感じだ。


property receipt 押収品リスト

presumption of innocence 推定無罪

intrusive でしゃばりな

cache 隠し場所 キャッシュ

clemency 赦免

delegated 派遣された

botched 不出来な

innuendo ほのめかし

seize つかみとる

criminal statutes 刑法


受験勉強みたいな方法になってしまった。

結局はそれが1番効率がいいのだろう。


ネットを見ていると耳触りのいい広告がたくさん出てくる。

「英語の成績が30点だった私が、1日5分の勉強をしたら3ヶ月でペラペラになりました」とか。


そんな感じだ。


実際はどうだろうか。

「成績上位だったオレが1日30分の真剣な勉強を1年間続けて少し進歩したかな」程度だろう。


それでも勉強するとしないとでは雲泥の差。


ただ、オレの受験勉強時代より現代の方が環境に恵まれていることがいくつかある。


まず、YouTube という自然の英語教材があり、リスニングの速度調整もできること。

次に、これらの動画を見る時に英語字幕を使えること。

そして、スキマ時間や寝る前にスマホ単語帳を眺めることができること。


最終的な目標は字幕なしで英語動画を理解することだ。

その途中過程では英語字幕や単語の意味調べ、速度調整などを駆使し、1段ずつ階段を昇ることが大切なのだと思う。


まあ、勉強も娯楽と思って続けよう。


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