第146話 YouTube で主張する男

 YouTube の影響力は新聞やテレビより大きいかもしれない。


 そんな YouTube でコロナ第7波はたいした事がない、と耳にした。

 死亡者数や重症者数を見ると普通の風邪なみだ、というのがその根拠だ。

 だからマスクは不要、行動制限も不要だと結論づけている。


 医師は補助金欲しさにコロナの危険性をあおっているのだとか。

 コメント欄にも「そうだ、そうだ」という声が並んでいる。



 しかしオレは言いたい。


 医師とはいえ、オレは天下のサラリーマンだ。

 病院に補助金が入っても給料は変わらない。

 既得権益がどうとか、知ったことか!


 さらに言わせてほしい。


 コロナを甘く見るな!

 まだまだオレたちの戦争は続いている。



 以下に述べるのは、あくまでも現場での肌感覚だが良く聞いてほしい。


 第6波に比べて第7波の方が感染力が強く、重症化しやすい。

 先日来院したアスリートは咽頭痛で発症した次の日に呼吸困難で救急搬入された。


 たとえコロナから回復しても慢性疲労症候群や brain fog という後遺症を発症する事がある。

 体感で20例に1例程度だろうか。


 brain fog というのは考えがまとまらない、という後遺症だ。

 やたら疲れる上に頭がボーッとするので職場復帰が難しい。


 ある医師はコロナ感染後に疲れやすくなり散歩すらできなくなった。

 別のサラリーマンはボンヤリしながらも辛うじてテレワークをしている。



 一方で医療体制は崩壊しつつあるのが現実だ。


 医療機関のスタッフはワクチンを3回打って常時マスクをしている。

 にもかかわらず感染するので、前線からの離脱が相次ぐ。

 ベッドはあっても患者を診る人がいない。


 さらに言えば、オレたちはコロナだけを相手にしているのではない。

 本来業務の心筋梗塞や脳卒中や癌の治療だけでもヘロヘロになってしまう。

 乏しい余力をふりしぼってコロナに対応しているのが現実だ。


 緊急事態宣言が出されていないせいか、町では気のゆるみが目立つ。

 マスクなしで大声でしゃべったり飲み食いしているのにはビックリだ。


 そして、コロナに加えてインフルエンザも散見される。

 昨年は全く見なかったインフルエンザが、今月の当院では7例もみつかった。

 同じ飛沫感染なので、人々の油断に乗じて忍び寄ってきているのだろう。


 縁あってこの「トホホ」を読んでいる人たちだけでも注意して欲しい。


 マスク。

 手洗い。

 ハイリスクの発症は7日以内に治療開始!


 これらは鉄則だ。



 それにしてもコロナの手強さ、狡猾こうかつさには敵ながら恐れ入る。

 インフルエンザまで仲間に引っ張り込むとは想定していなかったぜ。


 マスコミや YouTube が何を言おうがコロナとの戦いをやめるわけにはいかない。

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