第119話 ちゃんと尻を拭いた男

個室でしゃがんでいる最中に来た宅急便に慌てて対応した結果、粗相そそうをしてしまった話は前にした。


実は同じような状況が再び起こったのだ。


土曜日のさわやかな朝。

妻は外出。

オレは個室にしゃがんで瞑想めいそうにふけっていた。


何もかも前回と同じだ。


どこからともなくカラカラカラというディーゼルエンジンの音がする。

しばしの後に、ピンポーンと鳴らされた。


なんで宅急便ってのはオレが取り込み中の時を狙って来るのか?


しかし、同じ失敗を繰り返さないのがオレの身上しんしょうだ。


「はーい!」


まずは大きな声で返事をする。

そして軽くいた上でパンツを履いた。


「ここに受取をお願いしまーす!」


いつもクロネコの兄ちゃんは元気一杯。


「ありがとうございました!」


オレも負けずに明るく返事をする。


ん?


洗っていない手でクール宅急便を受け取っちまったよ。


まあいいか。

中身に触ったわけじゃないしな。

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