スピンオフであるからこその面白さを。

『カリグラファーの美文字異世界生活』長編リンクスピンオフ第三弾。他国×職業はアーメルサス×神職。
本編初期で技術大国として名を馳せていたアーメルサスの現状と本編主人公が非積極的に巻き込まれてしまいとても重要なファクターとなった神職の内情。
本作における神職の立ち位置はとても特殊で、積極的に神職に関わろうとしなかった&信仰心が現地人とは違う本編主人公だけでは語られなかったあれやこれやが面白い。
また、それを知る事によって本編の理解が更に深まるのがいい。胡散臭く見えていた神職の皆様がこんなに頼りになって可愛いなんて…

自らの境遇を嘆くばかりで流されるままだった本作の主人公アトネストは、とある出会いにより自分の原点を自覚し、前に進む事を決める。まるで導かれるように彼の地へ辿り着き、少しずつ少しずつ成長していく。全編を通して成長していく彼が彼らが眩しい。
本編や今までの主人公達はみな魔力的にもメンタル的にも強い面々だったので、低い位置から見るカリグラファーの世界がまた面白い。

作品としてはシュリイィーレの教会とアトネストが熟成期に入ってしまったので良いところで落ち着きますが、結局本スピンオフでは全ての謎が解決出来なかったのだけが残念。(アーメルサスのあれこれや帰化や身分証や魔力の問題やら…)
アトネストの成長と共にいつか本編で語られる事を楽しみにしています!

あなたの未来に幸あらんことを!