21.転職の神殿

 始まりの村に戻った俺は、まず発展クエストを完了させた。


【発展クエストクリア!】


 クリア報酬として100ゴールドとランダム装備BOXを手に入れると、その場でランダム装備BOXを使用した。


「どうなのにゃ?」

「……外れ。一般級だった」

「残念なのにゃー」


 まあ、ランダム装備BOXに関してはこれが当然位に考えていないとやっていられない。

 そもそも、希少級ですら確率はだいぶ低いわけで、一回目のランダム装備BOXで希少級以上が出ることの方が稀なんだからな。

 というわけで、俺はその足で目的地に向かう。

 歩きながらステータスを確認すると、レベルが予想以上に上がっていて驚いてしまった。


「……おぉぅ。まさか、レベル15とはねぇ」


 ゴブリンの巣ダンジョンに入った時がレベル8だったから、倍近いレベルになったわけだ。


「ステータスポイントも割り振っておくか」


 というわけで、敏捷に全振りである。


■名前:レヴォ ■レベル15

■職業:ノービス

■HP240/240

■MP240/240

■筋力24(+10) ■敏捷76(+65)

■知能24(+15) ■体力24(+25)

■精神力24(+15)

■ステータスポイント0

■スキルポイント37

■装備:隼の短剣、漆黒の外套、闇精霊のズボン、黒蛇革の靴、幻惑の指輪、下級風精霊の指輪

■アクティブスキル

・瞬歩 2/5(5メートル以内の場所に一瞬で移動する。5回分のストックあり、三時間でストックが1回復する)

・マッピング(ダンジョンのマップを作製できる)

・エコー(反響を利用してダンジョンの構造を把握、見えないところの相手を見つけることができる)

・暗視(暗闇で視界を確保する)

・アナライズ(対象物を解析することができる)

■パッシブスキル

・敏捷上昇(5%)


 コープスたちから手に入れた希少級アクセサリー装備の下級風精霊の指輪で敏捷が20増えており、トータルの敏捷は141と三桁を超えている。

 その数字は始まりの村でこの数字は異常といえるだろう。

 ゴールドでは筋力をメインに上げていたけど、始まりの村を出る時でも100は超えていなかったと記憶している。

 一つのステータスに特化するって戦略を狭めると思っていたけど、敏捷の場合は全く違うな。

 動けるというだけで戦術の幅が広がり、自然と表情がにやけてしまう。

 それに、一撃でも浴びれば一発でHP全損の可能性もあるわけで、スリル感を味わうこともできてしまう。

 戦術の幅が広がり、さらにスリル感も味わえるか……よし、これからも敏捷に振っていこう。


「ねえねえ、ご主人様。どこに向かっているのにゃ?」

「ん? あぁ、それは……というか、着いたな、ここだ」


 レベル10にならないと利用できない施設。おそらく、ワンアースにいる全ユーザーがここを利用しており、今後も利用され続けるだろう場所。

 チュートリアル塔にも似た作りの天高く伸びる純白の建物には、今も多くのユーザーが出入りを行っていた。


「ここは――転職の神殿なのにゃ! そうにゃ、ご主人様はレベル10になったのにゃ!」

「正確には、レベル15だけどな」


 ダンジョン発見の特典と、コープスたちを倒したことでレベルが一気に上がったからな。

 本当はレベル10になった時点で転職の神殿に来る予定だったんだが、まあ装備も手に入ったしよしとしよう。


「さっさと転職を済ませて、次のステージへ進もうぜ!」

「はいなのにゃ!」


 ここまで順調すぎるくらいに順調に進んでいるが、一先ず今日は転職をしてから終わりにするか。動画配信の準備もあるしな。

 というわけで転職の神殿に入った俺は、早速受付で転職希望を申請した。


「レベル10を超えているのを確認いたしました。どの職業になさいますか?」

「暗殺者でお願いします」

「かしこまりました。では、二階へ進んでください」


 お決まりのやり取りを終えると、受付嬢は建物の奥にある階段を上がるよう伝えてきた。

 案内に従い二階へ進むと、そこで腕を組み仁王立ちしている教官NPCが迎えてくれる。

 とはいえ、俺は今からこいつと戦わなければならない。


「よく来た! 私は暗殺者への転職を管理している教官である! 私の課題をクリアすることで、ようやく暗殺者への道が開けるのだ!」

「よろしくお願いします」

「いいだろう! では、私との模擬戦である!」


 教官NPCが構えを取ると、目の前に10カウントが表示された。


「……3……2……1……ゼロ!」

「ぐはあっ!? ま、参ったのである!」


 俺は全力で駆け出すと、一撃で教官NPCの首を攻撃して勝利を手にした。

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