#66 王都奪還戦・出撃
重量物が奏でる、鋼鉄の歩行音が鳴り響く。近寄れば耳を圧するであろう音がさらに何百も重なり、さながら地震と紛うばかりの規模となっていた。
新生クシェペルカ王国の新王都として定められた都市、フォンタニエ。その門前には今、幻晶騎士の大部隊が集結している。
“塔の騎士”とも呼ばれる、法撃特化の
騎士団の規模は、都市の城壁にそって大地を埋め尽くしそうなほどにも上る。この光景を見ては、彼らが一時は壊滅寸前であったなどとは俄かには信じられないことだろう。
それにしても驚くべき短期間に揃えられたものだが、これは先日の勝ち戦により大量の残骸を手に入れたことも、その一因であった。
やがて騎士団は歩みを止める。大地の震えが収まり、周囲には幻晶騎士の吐き出す緩やかな吸排気音だけが残った。流れる風がゆっくりと、舞い上がった土煙を晴らしてゆく。
整然と並ぶ騎士団の前に、いっとう燦然たる輝きが放たれた。
騎士団の後から、悠然とフォンタニエの門をくぐった幻晶騎士がある。絢爛たる鎧を身にまとう、王の乗騎――かつて失われたはずの“国王騎”であった。正確にはそのものではない。国王騎は先王の死と共に失われてしまったため、ここにあるのは再建された後継機“カルトガ・オル・クシェール
騎士団はいっせいに膝をつき、駐機姿勢をとった。機体の胸部装甲が開き、
主を出迎えた騎士団に対し、カルトガ・オル・クシェール二世は悠然と立ち止まり、胸部装甲を開いた。その場に集う全員の視線が、国王騎より現れた人影へと集中する。
国王騎とは、ただ王のためだけに在る幻晶騎士。なれば当然、現れるのは女王“エレオノーラ・ミランダ・クシェペルカ”以外にはありえない。
騎操士たちは、現れた女王の姿に目を瞠った。そこにいたのは、愛でられるばかりであった温室の花のようであった女王ではない。
その装いは日ごろ身にまとう豪奢なドレスではなく、明らかに戦闘用とわかるものだった。それも騎操士用であろう、衝撃を和らげるための軽鎧だ。
大輪の花と例えられ、西方諸国にその人ありと謳われた美貌には、重なる心労ゆえかいくらかの翳りが見られる。しかしそれに代わり、そこにはかつては持ち得なかった強い意思が存在していた。まるで野に咲き誇る花のごとく、しなやかな強さがあった。
閉じこもり臥せっていた頃の弱さは、もはやわずかにも見出せない。
エレオノーラは一度大きく息を吸い込み、その場に集った騎士団を見回す。
「クシェペルカの騎士たち……私たちはようやく、この時を迎えることができました。かつて西方諸国にその名を知られた、美しき都であったデルヴァンクールが炎に包まれたあの夜……無力を知り、敗北を知ったあの夜。侵略者は卑劣なれど、あまりにも強大でした。多くを奪われ、多くが失われ……私たちが愛するこのクシェペルカ王国は父上……いえ、先王陛下と共に、一時はその歴史に幕を下ろしたのです」
国王騎に搭載された拡声器が、女王の声を隅々まで届ける。
じっと話を聞く騎操士たちの拳に、徐々に力がこめられてゆく。旧王都の失陥、それは侵略と滅びを象徴する出来事だ。
「しかし私たちは友の手を借りて、再び立ち上がることができました。
空気を揺らめかせる熱は、幻晶騎士が放つものか、それとも騎操士の意思が呼んだものであろうか。
彼らは待ち望んでいる。そのときが訪れるのを。侵略者を撃退し、彼らの故郷を取り戻せと、その命が下る時を。弓を引き絞るように、籠められる力は強くなってゆく。
「今こそ、私たちの国を、この手に取り戻すときです。……クシェペルカ国女王、エレオノーラ・ミランダ・クシェペルカの名において命じましょう」
エレオノーラの瞳には、もう涙はない。怯えも、引っ込み思案の箱入り王女だった面影をも振り切り、彼女は前に進む。
カルトガ・オル・クシェール
「クシェペルカの騎士よ、全軍にて進軍せよ! この国を、奪われた王都を取り戻すのです! ……我らが手に、勝利を!!」
応、と応える怒号が地を揺らした。
立ち上がる巨人の騎士たちが、再び大地を揺らす。ここに、旧王都デルヴァンクール奪還のための進軍が、始まったのである。
新生クシェペルカ王国は主力である近衛騎士団を投入し、まさに総力戦というべき構えであった。その規模は、以前のジャロウデク軍の進軍を逆さまにしたかのようなものである。
戦力の中核となるのは、新型量産機レーヴァンティアである。それに続き、レスヴァント・ヴィードの姿もあった。
自身の重量ゆえに移動能力が極端に低いレスヴァント・ヴィードであったが、その解決方法は極めて単純なものである。重量のほとんどを占めるウォール・ローブを取り外して解体し、別途に馬車で輸送することで移動力を確保したのだ。
ただし
主戦力である幻晶騎士の背後には、物資を満載した輜重隊が列を成していた。そこには、幻晶甲冑をまとった騎士が随伴している。
長大な列を作る隊列の中央には、ひときわ騎士が密集しているところがあった。
その中央にいるのは、国王騎カルトガ・オル・クシェール二世だ。それに並ぶようにして、これまた豪勢な金色の騎士が歩いている。エムリスの乗る
「はっは! あの演説はいいものだったぞ! エリーもなかなかどうして、女王らしくなってきたじゃないか」
「そ、そうでしょうか……。まだまだ未熟ですけれど、少しでも女王として恥ずかしくない振る舞いができていればいいのですけど……」
カルトガ・オル・クシェール二世から、どこか気恥ずかしげな様子の返答が聞こえてくる。その言葉に、別の声が続いた。
「あれはエリーが……いえ、陛下がご自身で考えられた言葉。大丈夫、陛下はもう立派にその役を果たされている」
操縦席の中で、エレオノーラは“背後”へと振り返る。
「……イサドラ。あなたにそんなにかしこまられると、なんだか調子が狂うわ」
「そうはいかない。あなたはもう名実共に、この国の女王なのだから」
カルトガ・オル・クシェール二世の操縦席には“二人”の人物がいた。一人はエレオノーラで、もう一人はその従姉妹であるイサドラだ。
本来ならば、国王騎には国王その人しか乗ることが許されない。しかし現女王エレオノーラは操縦訓練などまったくしたことがなく、歩かせることすら困難な有様だったのだ。そのため二世の建造時に急遽改造が施され、やや無理やりに二人乗りとすることで動かしているのである。
二世はツェンドルグのように大きさに余裕があるわけではないため、操縦席の中はひどく狭くなっていた。
「それよりも、ごめんなさいイサドラ。私がふがいないばかりに、あなたまで戦場に出ることになってしまって……」
エレオノーラは
「いいの。エリーがこの戦いにゆくと決めた。だったら私はそれを手伝う。私だって、この国を取り戻したいもの」
外に言葉が漏れないためにもとの呼び方に戻った従姉妹の言葉に、エレオノーラは小さく笑みを浮かべてから拡声器を動かした。
「それと、エムリスさん。私たちは……国王騎はまったく戦うことができません。ですが、お飾りでも私たちはここに立たねばならないのです。だからどうか、護りをお願いします」
エレオノーラは幻晶騎士の操縦はおろか、部隊の指揮すらもできない。こと戦場においては“王”という象徴としての役割以上のない彼女であったが、しかしそれゆえに彼女はここに必要であった。
旧王都デルヴァンクールの奪還は、今後の戦略的にみて必須であるばかりか、民や騎士の心情的な意味でもなんとしても成し遂げねばならないことである。
そこで歳若く美しい、さらにか弱い女王というのは、兵を鼓舞するのに最適な存在であった。しかも緒戦で父親である前国王を亡くしているという事実が兵士たちとの間に大きな共感を呼んでいる。
女王は決して力強い指揮官ではないが、彼らを奮起させるという点においてはこれ以上に適した人選はないといえよう。
加えて言えば、新女王が自身の親征において旧王都を奪還するという事実は、その後を見据えた場合に重要になってくる。様々な理由の末に、国王騎を無理やりに二人乗りにしてでも戦場へと向かうこととなったのだ。
そのあたりの理由を知るエムリスは、金獅子の中で歯を剥きだしに豪快な笑みをうかべる。
「ふうむ。戦場においては本陣であり、王というのは最も危険だ。何しろ敵はここを目指してやってくるといっても過言ではないからな! だがイサドラも、エリーも危ない目になどあわせはしないぞ。ここに俺と金獅子がいる……そのうえ、だ」
金獅子の首がめぐり、周囲を見回す。
周囲に展開しているのは、国王騎を中心とした王護の隊だ。クシェペルカ軍でも選りすぐりの騎士が勢ぞろいしており、さらにそれだけではない。
そこには
「ここには銀の鳳の護りがある。何がこようとも恐れるに足りん!!」
そうして盛り上がる国王騎と金獅子からやや後方、
「……なんか若旦那があんなこといってるけど。本陣っていっちばん後ろにあるもんだろ。早々危険になんてならねーんじゃねぇの?」
「いいえ、おそらく本陣は言うほど安全ではないでしょう」
彼の疑問に答えたのは、イカルガに乗り併走するエルネスティであった。
「こないだの戦いで相当数の
キッドは一応の納得を感じたが、続く疑問を発していた。
「裏をかいて表に出て、素直に前線にちょっかいかけてくるかもしれねーぜ?」
「それならそれで、
「おう、任せな!」
すると、併走していたもう一機のツェンドリンブルがイカルガへと近寄ってくる。
「でもエル君、次は壊れていない飛空船が欲しいって言ってたじゃない。壊しちゃってもいいの?」
先日のエルの言葉を覚えていたアディの疑問に対して、帰ってきたのはイカルガから漏れる、ひどく楽しげな言葉だった。
「ええ。でもこないだの戦いで、既に飛んでいるものを奪うのは難しいというのがわかりました。だから、僕は向こうの本陣から直接“ブツ”を失敬してこようかなーと思うのです」
鬼神の腕がざわりと蠢く。
そのときの双子は飛空船を創り上げた敵に対して、ほんの少しだけ同情を覚えたのであった。
一隻の飛空船がデルヴァンクール郊外にある飛空船発着場――“空港”へと降り立っていた。
その船には黒顎騎士団のものとは異なる、ジャロウデク王国旗の亜種が掲げられている。それが示すのは、この船に乗るものは王家直属の部隊である、という事実だ。
船体後部の大扉を開いて内部より現れいでるは、黒鉄の鎧をまとう巨人ティラントー。その後ろから、全身のあちこちに剣をへばりつけた奇妙な騎士“ソードマン”が続く。クシェペルカ王国北領の侵攻を任されていたクリストバルの腹心“ドロテオ・マルドネス”と、その息子“グスターボ”の機体だ。
久方ぶりにデルヴァンクールへ舞い戻った彼らは、主であるクリストバルの待つ王城へと向かう道々に周囲の様子を見回しては、溜息ともつかぬものを漏らしていた。
「これは……なんと覇気に欠けたものか。手痛い反撃を受けたとは聞いていたが、よもやここまで落ち込んでいようとはな」
「あの好戦的な殿下に率いられてこんな有り様じゃあ、ちいとばっかしやばいんでね」
ドロテオの眉根に皺がよってゆく。鋼翼騎士団が擁する、多数の飛空船が頻繁に出入りしていたことから整備されたこの空港であるが、フォンタニエ攻略戦において多くの被害を出したことから、現在は閑散とした様子となっている。
それだけではない。かつては堂々と空にあった飛空船も、どうにも動きがこそこそとしており、まったく力強さが感じられなかった。そこにジャロウデク軍の現状を重ね見てしまい、ドロテオはどうにも不愉快なものを感じてしまうのだ。
「ともかく、殿下のもとへ急ぐぞ」
余計な考えを首を振って追い出すと、彼はティラントーを歩ませた。彼の養子と部下たちがそれに続く。
幻晶騎士を城の駐機場に預けた彼らは、そのまま主の待つ謁見の間へと向かった。たどり着くなりドロテオは静かに膝をつき、玉座にどっかりと座ったクリストバルへ向けて礼の姿勢をとる。
「ドロテオ・マルドネス、お召しに従い参上いたしました」
「ああ、待っていたぞドロテオ。どうだ? 久しぶりにデルヴァンクールに戻ってきた感想は」
「目を覆わんばかり。以前の勢いを完全に失っておりますな。これが栄光のジャロウデク軍の姿かと思うと、忸怩たる思いを隠せませぬ」
遠慮のない物言いに、クリストバルはわざとらしく顔を顰めた。それを見てもドロテオも、背後にいる部下も涼しい表情だ。付き合いの長い彼らにとって、このような会話もいつものことであった。
「痛いところを……だが、その通りだ。お前たちも聞いているだろう、フォンタニエ攻略戦における黒顎騎士団と鋼翼騎士団の被害はあまりにも大きなものだった。特に鋼翼騎士団が叩き落されたのがな。あの一戦のおかげで、我らの目論見は完全に崩れたといってもよい」
今回ばかりは状況が状況だけに、いつもどおりの会話が少々痛すぎたようだ。クリストバルは不機嫌な様子を隠しもせず、吐き捨てるように言う。
「負けたままにはできん、空を、この国を支配するは我らでなくてはならん。開発工房をせっついて飛空船に改装を施し、鋼翼騎士団の再訓練もひとまずは形をつけた。だが、それだけだ。失った数は戻らんし、やつらの抵抗も日増しに激化している」
戦力の過半数を失った鋼翼騎士団であったが、オラシオの提案による改修作業も一段落し、戦力の再編が始まっていた。
新型の配備が進む新生クシェペルカ王国に対し、もはや黒騎士だけで優位に進めることはできない。最新の幻晶騎士と飛空船が入乱れた末の複雑怪奇な力学によって、各地の戦況は一進一退の均衡状態にあった。
「これは、こちらから攻めるどころか、今は攻められるを心配する状況ですな」
「その通りだ。元々
言葉の端々に不機嫌さを滲ませながら、クリストバルは天を仰ぐ。ことの深刻さは過たずドロテオにも伝わっていた。
早々にクシェペルカ中央を占拠したジャロウデク軍は、それから南北領の攻略に戦力の多くを割いていた。しかしそれは黒顎騎士団があり、中央が安泰なればこそとれた戦術である。今、その守りはほぼ失われたも同然なのだった。
「北領での戦いも、一進一退といったところでしたな。しかし……少々、不自然に思う点が」
「ほう? なんだ」
「おかしいのは、クシェペルカの戦力です。確かに新王都はやつらの中枢、強力な戦力をそろえて不思議ではありません。しかしながらそれは北も南も同じく。全て“いっせいに盛り返してくる”など、おかしいではありませんか。かりに強力な新型機を作ったといえ、誰がそれを前線へ持ち込むというのでしょうか。装備も、情報も、広がるのがあまりにも早すぎるかと」
ドロテオの言葉を聞き、クリストバルはひと時瞑目した。
「……道理だな。あの新たな量産機とやらも、いきなりあちこちに沸いて出たことになる。誰だ? 監視もなにもすべてすり抜ける……何がいる?」
「飛空船も、銅牙騎士団までも数が減っているのが痛いですな。そもそもやつらには地の利がある。何者かが駆け巡っているといえ、経路を押さえるのも容易ではありませぬ」
かつてフレメヴィーラ王国の存在を突き止めた銅牙騎士団。しかし銀鳳商騎士団と相対した代償はあまりに大きく、彼らは壊滅寸前まで追い詰められていた。それはまったく偶然の結果なのだが、ここにきてジャロウデク王国は半ば耳目をふさがれたに等しい状況に陥ってしまっている。
この、クシェペルカ軍の物資供給と情報伝達を支えているのは、
本来、戦時中の物資輸送には幻晶騎士による護衛が必須であるといわれていた。しかしそれを逆手に取り、護衛に“幻晶騎士を使用しない”ことで極めて隠密に物資を運んだのである。もちろん、地理に長けているからこそできた芸当だ。
これにはドロテオが嘆いたとおり、銅牙騎士団という間者部隊の戦力低下が大きく響いていた。かの黒き影たちが健在であれば、多くの荷馬を連れた幻晶甲冑など早々に炙りだされていたことだろう。
そうして彼らが不景気な様子で顔を突き合わせていると、謁見の間へと慌てた様子の兵士が駆け込んできた。
「至急につき失礼! クシェペルカ王国軍、動きました! この旧王都へ向けて進軍を開始したとのことです!!」
それを耳にした瞬間、クリストバルは勢いよく玉座を蹴って立ち上がっていた。意外なことに、彼の表情は不快な様子ではない。代わりにあったのは、何かを吹っ切ったような凄絶な笑みだ。
「そうか、ついに来たか。ふ、ふは、はははははは!! ああ、ちまちまとした削りあいなど性に合わぬ。いいだろう、いいだろう!! 正面より挑むというなら受けて立つ。この一戦にて雌雄を決してくれよう! おい、お前はコジャーソ卿を呼んでこい、ただちにだ!」
クリストバルの指示を受けた兵士はすぐさま踵を返し、現れたときと同様に慌てて出ていった。
「ドロテオよ、お前もこの時に間に合ったのだ。やつらを迎え撃つために、存分に働いてもらうぞ」
「御意、もとより我ら御身の剣なり盾なれば。なんなりとお命じくださいませ」
ドロテオの言葉に続き、グスターボと部下たちが頷く。
それまでの不満げな様子はどこへやら、クリストバルは見違えるように溌剌とした様子でいた。元々好戦的であり、大雑把なところがあるがゆえに、彼は非常にわかりやすい武力による決着を強く望んでいる。それが攻められたものであっても、彼にとっては待ちに待った戦いといえた。
それからしばらくして、呼び出しを受けたオラシオ・コジャーソがやってきた。クシェペルカ王国進軍の報は彼の耳にも入っており、その表情には隠し切れないほどの強い緊張がある。
「……話は、聞いております。殿下、私をお呼びということは、これをお使いになるのですね?」
それに対してクリストバルは上機嫌この上なく、歯を剥き獰猛な笑みを浮かべた。
「そうだ! 何せやつらは
オラシオは静かに頷くと、そのまま全員を謁見の間から外へと案内する。元王城の廊下より見える光景には、それまでは存在しなかった巨大な異物が見えていた。
「殿下の命により進めておりました、ジャロウデク王国軍旗艦“ストールセイガー”の改修……すでに完了しております。どうぞ、お使いくださいませ」
そこにあるのは、一際巨大な飛空船であった。
通常の飛空船に対して倍にも及ぶ大きさを持ち、重厚な装甲を有し幻晶騎士の搭載数も大幅に増加した、まさしく空飛ぶ要塞とでもいうべき存在である。
ついに、クリストバルは人目をはばからず破顔した。
「見事だ、コジャーソ卿! くく、これは戦が楽しみになってきたではないか。盛大に、歓迎してやろう!!」
これから少しの後に、ジャロウデク王国に支配されたデルヴァンクールから飛空船が出撃した。旗艦ストールセイガーを中心とした鋼翼騎士団の生き残りが、近づきつつあるクシェペルカ王国軍を迎え撃つべく、空を行く。
新生クシェペルカ王国軍とジャロウデク王国軍が相対するまで、さほどの時は残されていなかった。
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