B-18
俺の泊まっていかないか?の声がけに
「…ぬっへぇ?!///」っとよく分からない可愛い声でビクッと反応してくれる紡。
「せ、先輩…いい…の?///」
「ああ、もちろん!」
「…んんっ!…やったぁ!!!///」
無邪気に喜ぶ紡に俺も、自然と顔が綻んだ。
「さ、紡?そろそろ上がろうか」その掛け声に「うん!」と紡は満面の笑みで答えてくれて、俺たちはバスルームから上がる事にしたんだ。
◇ ◇
―お風呂から上がったあと
家着を持ってきてない紡に俺の半袖半ズボンを貸してあげようと思ったんだが、身長差からピッタリのズボンと服が家にある訳がなくて…と、とりあえず、紡に似合いそうな半袖半ズボンを渡してあげて
「…これぐらいしかないけど、着れるか?」
「うん!…着ることは絶対出来るよ??」
と逆に茶化された事に俺は、すぐ気づけなかったんだ。良く考えれば、そりゃそうか…全てが俺より小さいんだもんな…///
そんなことを思いながらも紡は、俺から受け取った衣服を身に纏っていく。
「んっ…よいしょっ…!…あははっ!先輩、やっぱり大きいやっ!」
服とズボンを纏うなり、無邪気に笑う紡。ブカブカなズボンとシャツ姿で…ズボンなんか、ちゃんと履けてなくてパンツ丸出し気味だし、シャツも七分丈以上になってるし…!!
「しゃ…シャツはそのままでいいからっ…!ズボンはすまないが、履いてきたやつでもいいか?」
「…うん、分かった!えへへっ、今日の僕さ、先輩の匂いがするねっ…///」
なんて、喜びながらニコニコするもんだから…俺は、紡の頭をワシャワシャっと撫でてあげたんだ…。俺の顔もおかげさまで、真っ赤っかだったんだよ…。
◇ ◇
その後、俺たちは2人でソファーに座って紡の好きな音楽を聴きながら色んな話をし、会話の中で俺は、ある提案を紡に持ちかけたんだ。
「なぁ、紡?」
「なぁに、先輩っ?」
「来月って…お盆だよな?」
「あ、8月だもんね…早いなぁ…」
「俺さ、出来ればお前と母さんのお墓参りに行きたいんだ…そして母さんにさ、お前を紹介したいんだけれど…///」
俺の顔を見つめ、顔を真っ赤にしながら、口元をあわあわしている紡。
「それと…良ければ、お前の父さんにも会いたいんだけれど…だ、ダメかなっ?///」
母さんに紡を紹介するんだ。俺だって、紡の父さんにちゃんと会って、線香をあげてあげたい、そしてちゃんと挨拶をして思いも伝えたい…。
今まではずっと…1人で母さんに会いに行って「また来るからね?」と少しの会話をするだけで…母さんに会えた後の帰り道は、ただただ気持ちが虚しくなるだけだったんだ…。
きっと、紡だって俺と同じ気持ちだったと思うんだ…。それなら今度は2人で会いに行けばきっと、何かが変わるはず…そう俺は思ったんだ…。
「…つ、紡…!?」
俺が話しているその真横で…ヒクヒクと大粒の涙を流す紡の姿がそこにはあったんだ…。
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