【執美の骨棺】 中の四
再び現館長の所に戻った俺達は、怪異の曰くと正体を彼に説明し、件の棺が展示してある部屋に案内してもらうことになった。
(ちなみに館長さんは部屋に着いた途端、怖いからと早々に別の部屋に行ってしまい、此処には居ない。)
新谷先輩は安心して良いと言っていたけど、緊張する。
あの棺は[見目麗しい人間]を襲うのだ。
もし、もし俺に反応したら、どうしよう……!!
『そんなに心配しなくても【十六時の信号機】を出す準備は出来てるよ。
莉玖くんの命は僕の物でもあるからね。』
「た、頼もしい……!!
俺が操られたら止めてね!! 絶対だよっ!!」
はいはい、と適当に遇らう彼と共に、ショーウィンドウが特別に取っ払われ剥き出しになった棺に近づく。
話に聞いていた通り、豪華で綺麗な棺だ。昔の物のハズなのに新品の様にピカピカしてる。
恐る恐る足を踏み出し、すぐ近くまで寄ってみる、が。
……………………。
「………………。」
『反応しないな。』
そりゃ、実際に反応されて引き摺り込まれても困るよ?
困るけどさぁ……っ!!!!
ゲシッ!!!
やり場の無い怒りで身体が勝手に動いてしまい、気がついたら棺を蹴っていた。
しかし俺が付けた小さい蹴り傷は見る見る内に塞がっていき、何事も無かったかのように綺麗になってしまう。
もしや、この怪異は外側への攻撃が効かないのだろうか?
『莉玖くん、軽率過ぎるよ。
もし僕が対応出来なかったら、どうするの?」
いっつも俺を危険な目に遭わせている新谷先輩が言える事じゃない!!
と思ったけど、事実彼が俺にそういう行動をさせる場合は何らかの考えがある場合が多いのだ。
……そういえば。
ふと思い出して、試しに棺の蓋に手を掛けて開こうとするが、びくともしない。
館長さんに案内される道すがら「遺体を回収した後、いつの間にか棺の蓋が閉まっていて開かなくなっていた。」と説明されていたんだった。
外側からの攻撃は、恐らく効かない。
しかし、蓋が開かず内側も調べる事が出来ない。つまり……!!
『どうやら、囮が必要みたいだ。
曰くでは[見目麗しい人間]にしか反応しないようだから。』
最近、獲物を選り好みする怪異が多い気がする。
にしてもイケメンなんて、どうやって用意すれば良いんだろう??
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