第90話最初の子は姫君!
葵の上は無事に出産した。
生まれたのは女の子。
あれ?夕霧じゃない?
僕と葵の上の子供だから、てっきり、夕霧が生まれてくるもんだとばかり思っていたけど違った。性別からして違うから原作改変が成されているのかも?いや、そもそも、夕霧は光源氏が二十一歳の時の子供だ。今の僕は十三歳!八年も早くに生まれたから夕霧じゃないのか。葵の上によく似た女の子だ!可愛がっちゃうぞ!
「源氏の君、申し訳ございません」
「左大臣、何で謝っているの?」
目の前で土下座する左大臣に対して「?」だよ。お目出度い日にどうしたっているんだろう?
「我が娘の不徳をお許しください。跡取りである男児を産むことが出来なかったなど、あるまじき失態でございます。よもや婿を取らねばならない姫を産みおとすなど本来あってはならない事だと申しますのに……」
……ゴメン、左大臣。何を言っているのかサッパリ分からない。
「つきましては、葵の上の代わりに
……他の女を斡旋してきてる。それも妻の異母妹ってなに?神話の時代じゃないんだよ?頭湧いてんのかな?
「姫の母親は大納言家の出身でして、『男腹』として有名でございます」
いやいやいや。なら何で『姫』を産んでんだよ?左大臣、自分の言っている言葉が矛盾しまくっている自覚あるのかな?大体、男だろうが女だろうがどっちでもいいはずだよ?
何で『男の子』に拘るんだろう?
「葵の上も暫くは源氏の君の御相手が出来ません。どうでしょう、明日から『姫』をお傍に置いてはいかがでしょう?『姫』も喜んでお話相手をなさいます」
「左大臣、ちょっといいかな?」
ん?義父の左大臣を
左大臣家にある松の木に縛り上げただけだよ。ちゃんと大宮の許可は取ってあるからね。何の問題もない。パパ上が仕事をしてくれないからきっと左大臣も過労で頭がおかしくなったんだ。うん、そうに違いない。
今夜は冷えるから頭を冷やすには丁度いいよね!
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