第4話 - 2 世界線分岐


「地球を侵略したい。手を貸してくだサイ」



 夢野根底、ユメとの初陣は地球外生命体による地球侵略阻止に決まった。私宛にあの美少女的宇宙人からメールが来たのである。しかし、この文面では状況を把握してないといたずらメールかと思っちまうよ、ホント。


「流石です、ヘイ様。ヘイ様は流石でございます。夢野は感服いたしました」


「そこまでではないと思いますが。まあ、どれもまだ信憑性に欠けていてね。超能力者も宇宙人も未来人も。本当ならとんでも無い、それこそ全世界を覆してしまうほどの大事件だが、まあ、そんなことはないと思っている」


「どうしてですか! ヘイ様はすごいです。きっとヘイ様のお力があってその三人が引き寄せられてきたんですよ!」



 三人って。宇宙人は“”人“”でいいのか?



「何って、何でしょう? 私にそのような力? たとえば磁場のような科学的に証明できる力はありませんし、筋力も皆無と言っていいほどにありません。鍛えたことなど、これまで一度もないですから。宗教的な力であれば言葉の意味は変わってきますが、しかし、それは褒め言葉ではないでしょう。はて、それではーー」


「ヘイ様は黒のジョーカーなのですよ!」


「ーーはぁ。ユメ。その話はもう百回近くしたと思います。そんな呼ばれ方をしたことはありませんよ。それこそ、外部、つまり秘密結社同好会外の生徒さんや市民の方々ですが、そのような第三者の方から呼ばれたことも書かれたこともありません。確かに、奇妙な人の目につく同好会なので興味関心を惹くのはわかります。部長の側で、右腕となれるように率先しているのも事実です。部内で私は目立つ方でしょう。名前も特徴あるといえば、ありますし。黒でヘイと読むのは中国語の様ですからね。しかし、黒のジョーカーだなんて、そんな事はーー」


「ジョーカーはババではありません。切り札です。秘密結社同好会の真の名前は“”ヘイオブ輝石エンシェント“”」


 場所は変わらず旧第二文芸部跡。できることなら、誰か他人に覗かれたくはなかったのと、ユメーー夢野と話していて分かったことは、彼女が夢見がちな少女のような奴だということ。だから電波的な意味も含めてユメと呼んでいるーーを外に出したかったので、周囲の索敵と私とレイのいる空き教室へ他者の一切の侵入を許さないように命じた。ユメは素直に「御意」と頷いて任務に就いた。扱いやすくて助かる。

 


 さて、と。



「お久しぶりですね、エデン・レイさん」




 ※ ※ ※





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