少女を拾った

バブみ道日丿宮組

お題:少女の克服 制限時間:15分

少女を拾った

 少女を拾った。

 ゴミ箱の中に隠れてた少女は、今はパンを頬張ってる。

 お風呂に入れて洗ったから、今はキレイだ。

 見つけたときはゴミ箱の中にあった腐敗物の匂いやら、体臭やらが混ぜ合わってこの世の匂いじゃないものになってた。

 少女は一緒に入ることを嫌がったが、無理やり入れた。

 子どもと入るのに躊躇なんてしない。

 パンばかり口にするので、腕を掴みやめさせて、しっかりと噛ませる。そして牛乳を口に打ち込む。ゴクゴクといい音がなった。

 食べ終わった少女はそのまま眠ってしまった。

 さすがに椅子の上じゃいつ落ちてるかわからないので、お姫様だっこして自室のベッドの上に置いた。重さは想像以上に軽かった。よほど、衰弱してたんだろう。

 お風呂で見た裸も肉がほとんどなく、骨のようだった。

 きちんと眠ってることを確認すると、迷子関係のサイトで少女を探してないかを閲覧する。

 検索ワードを絞らないと、数千も表示されて困った。

 そんなにも行方不明者がいると思うと、恐怖した。

 金髪、赤い目、左手に切り傷。

 検索結果には、何も表示されなかった。

 そもそも赤い目というのがいないらしい。確かにテレビでも見たことがないし、聞いたことがない。一般的に存在してる金髪は、青い目。赤い目というのは一般的じゃない。

 赤い目で調べてみると、小説の設定がやたらと目立った。

 つまり、少女は空想的なにかを体現した存在であるのかもしれない。

 あくびが漏れた。

 少女の世話と、検索に時間をかけたからか、結構な時間になってた。

 少女が眠るベッドに入り、自分も睡眠を取ることにした。

 朝起きると、少女は自分に抱きつくように眠ってた。軽く揺さぶると、ほんのりと眼をあけて、ぱちぱち。意識が戻ると、一気に距離をとった。

 大丈夫。何もしないから。少女はぐるぐるるるると犬のように威嚇してきた。

 かまってもいられないので、着替えて台所に向かう。ちなみに少女は自分のTシャツ一枚だけ羽織ってる。着てた服はもはや服ではなかったので捨ててしまった。これからのことを考えると、なにか買っておいたほうがいいかもしれない。

 少女は嫌々をした。

 どうやら、野菜があまり好きじゃないらしい。

 ベーコンと卵は問題ないようだ。

 食生活が偏ると、より一層身体は弱くなる。

 今日のところはいいが、今後もこの生活が続くのであれば、克服させる必要があるだろう。

 とりあえず、彼女に連絡をした。

 少女を拾ったと。

 彼女は数分もかからずにやってきた。怒られた。犯罪だと。

 反論をしたが、少女のように威嚇された。

 少女はすぐに彼女に懐いた。

 お古を持ってくるからと、彼女は家に帰った。

 こうして、俺と少女(と彼女)のなんともいえない生活がはじまった。

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