第7話 暴かれた『あの日』のウラ
原宿駅で降りて、香蓮オススメというカフェへ向かう。駅から3分ほど歩いたところに少しレトロだが、原宿らしさのあるカフェはあった。
「ここが私のオススメ!推しカフェ!!」
「推しカフェってなに」
「いーのいーの」
何だ、香蓮怖いぞ。この前までなんか・・・・・現実的な女性だったのに急に漫画風の女子になってしまっているじゃないか!
「ここ、座ろうか!」
香蓮に座らさられると、ひとまずメニューを見る。見たところ美味しそうなカフェのメニューばかりだ。
「林司君、決めた?」
「いや、まだ」
しばらく考えたが、ひとまずコーヒーと簡単なトーストだけ頼むことにした。この状況でそんなにたくさん食べられないのだ。
「お待たせしましたー」
メニューが運ばれてくるとまずはコーヒーを1口飲んだ。
「美味い」
だが、いつものものとは違う。やっぱり食べるものってその時々の気持ちによるものなんだな。
「これ、美味しいよ!」
タピオカミルクティーを飲んでいた香蓮が言った。本当に、なぜかアニメキャラになっている。
「うーん、ひとまずパフェだけ追加で頼もう」
「それがいいよ!」
ウェイトレスは笑顔で答えてくれた。それがなぜか心に響いていた。自分はそんなに笑顔で接客しているっけ。その時に気分悪かったら真顔かイライラしながら接客することもあったかなぁと思って・・・・・
「何考えてるの」
「別に」
しばらくするとアイスクリームが運ばれてきた。
「美味いな。さすがは原宿だ」
「でっしょ~!で、一つ聞きたいんだけど。あの中華定食誰が作ったの?」
(そう来たか!!なんで、これどうしよう。マジで)
アワワワワ。これはヤバいぞ。
「・・・・・・・・・・・・・」
しばし沈黙を挟み、香蓮がそれを破った。
「で、どうなの?」
「・・・・・・・・・・・いや」
「どういうことなのって言ってんだよ!!!!!!!」
怖い!!
「いや」
「嫌って何??」
えーい!!もうどうにでもなれという気持ちで・・・・・意を決して口を開いた。
「あれは、僕と
チンチエっていうのは店でエース的存在の男だ。僕の師でもある。
そのことを、彼女に伝えると
「その料理のどれくらいを手伝ってもらったの」
「半分くらいかな」
「『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』」
長い沈黙を挟んで、彼女が動いた。
食後の運動を心掛ける僕は、新宿まで歩いた。そこから総武線で秋葉原へ行って
山手線に乗り換えて上野へ戻った。
香蓮は――帰った。
そのことを聞いた瞬間、ガツガツとメニューを食べて、支払いを僕に任せて帰っていった。
ピロリン
スマホが鳴る。LINEに通知の赤丸がついていたので、タップして開く。すると、香蓮の連絡先が表示されていた。僕は交換した記憶がない。だから、おそらく僕が知らない間に「ふるふる」などで交換させたのだろう。
一応、メッセージを確認すると、こう書かれていた。
『今回はがっかりだけど、1人で作った料理はおいしかったよ。自信を持って』
そして、その次に追伸があった。
『追伸:3月5日に私の家で会いましょう。私その時に頑張って料理作るから!』
ふーん。でも、本当に信用していいのだろうか?と、思った時1つの言葉が蘇った。
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