第39話038「落ちぶれ救世主」
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ひゃっほい!
「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」
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「おい! そこの⋯⋯⋯⋯『落ちぶれ救世主』!!」
「ん?」
声のほうに顔を向けると、五人ほどの生徒がいた。
「⋯⋯え? 俺のこと?」
「お前以外に誰がいる」
たしかに。『落ちぶれ救世主』とはこれ如何に。
「はあ⋯⋯で、何でしょう?」
「さっき、お前のクラスの奴から聞いたが、転校初日から何やら調子こいてるらしいな?」
「⋯⋯⋯⋯」
なるほど⋯⋯。いわゆる『
「君って、もしかしてお貴族様?」
「ふっ⋯⋯いかにも。俺の名は『ジョルジオ・マッケラン』。マッケラン伯爵家の者だ」
「そうだ! ジョルジオ様はマッケラン伯爵家の次期当主と言われている人物だぞ!」
「おい『落ちぶれ救世主』! 頭が高い! 控えおろう〜〜っ!」
水◯黄門かよっ!
取り巻き連中、ちょっと面白いな。
「え〜と、ジョルジオ君は⋯⋯」
「「「「ジョルジオさんだっ!!」」」」
「おっと失礼! ジョルジオっちは⋯⋯」
「「「「ジョルジオさんだっ!!」」」」
「ジョリジョリジオメトリーさんは⋯⋯」
「「「「いや、もはや原形
むむっ!? やるな⋯⋯『
そんな、俺の想定以上に『ツッコミ偏差値』の高い取り巻き連中をイジっていると、
「お、おい、お前っ! 俺の仲間を使って楽しそうに遊ぶなっ!!」
「いや〜良いツッコミだったんで、つい⋯⋯」
********************
——仕切り直し
「で? 俺に何か用ですか?」
「えーと、その⋯⋯あ、そうだ! おい、お前!『元・救世主』だからって、調子に乗っているそうだな!」
「どゆこと?」
「さっき、Aクラスの奴から聞いたぞ! 救世主から平民に落ちぶれた奴のくせに、なんか威張っているってな!」
う〜ん、これは、その⋯⋯彼は喧嘩を売っているのだろうか?
でも、こいつ、何か悪い奴じゃなさそうなんだよな〜。
「おい、話聞いてるのか!」
「あ、はい。あの〜ジョルジオさん⋯⋯」
「なんだ?!」
「つまり⋯⋯俺にどうしろと?」
「何? お前もわからない奴だな〜。平民なら誰か貴族の下につくのがこの学園の『暗黙のルール』だろ?」
「え? 貴族の下? 暗黙のルール?」
「えーい、お前たち! こいつにわかりやすく説明しろ!」
「はい、ジョルジオ様! いいか、お前! 平民はだな〜⋯⋯」
と、『
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【学園の暗黙ルール】
1:平民は貴族の誰かの下について、その主となる貴族の身の回りの世話をするもの
2:平民は主に対して常に最高の環境で学園生活を楽しんでもらえるよう努力するもの
3:平民は主はもとより貴族には決して逆らってはいけないもの
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「つまり『子分になれ』ということですか?」
「そうだ! しかし安心しろ! 私は『じぇんとるめん』だからな! 悪いようにはせんぞ!」
「でも、どうして俺を?」
「え? だって、何かかっこいいじゃん?『元・救世主が子分』って?」
「⋯⋯⋯⋯」
う〜む、なるほど。こいつ⋯⋯『ド天然』だな?
よし、これは是非とも味方につけよう!
「で、どうするのだ? 私の下につくのか、エイジ・クサカ⋯⋯」
「よろこんでー!」
俺は被せ気味に⋯⋯かつ居酒屋スタッフばりに明朗に快諾した。
「えっ!? お、お前、そんな即決でいいのか?」
「え? あ、うん」
「そ、そうか! う、うむ、なかなか見どころのある奴だな!」
「そりゃそうですよ、ジョルジオ様! ジョルジオ様の人柄です! 人望です!」
「そ、そう⋯⋯?」
「もちろんですよ! 私たちもそんなジョルジオ様を尊敬していますっ!」
「う、うむ。ありがとう」
「ジョルジオ様! バンザーイ!」
「バ、バンザー⋯⋯イ?」
「⋯⋯⋯⋯」
いや〜、転校初日から早速面白い仲間が
「ジョルジオ様! では、今後ともよろしくお願いします!」
「うむ、苦しゅうない。あと、何かわからないことがあったら、こいつらに色々と聞くが良い。おい、お前たち、ちゃんと指導するんだぞ。クサカベは⋯⋯」
「『エイジ』⋯⋯でいいです、ジョルジオ様」
「わかった。おい、お前たち! エイジは異世界人だから、この学園やエルクレーン王国、あとこの世界についてわからないことが多いだろうからいろいろと教えてあげたまえ」
「「「「おまかせください、ジョルジオ様!」」」」
かくして、俺は転校初日にして『ジョルジオ・マッケラン伯爵』の子分⋯⋯⋯⋯『
次回から『
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——放課後
学校が終わると、俺はその足で学園寮へと向かった。
城から引っ越し⋯⋯⋯⋯と言っても、異世界からは『着の身着のまま』で来たので、特に荷物があるわけではないため、引っ越しというほどの荷物はなかった。
「おお〜、ここが学園寮⋯⋯」
学園寮は敷地の右手側にある建物で、正門とは真逆の位置となる。
正門から入って最初に目にする建物が『校舎』となり、その校舎の左手には手前から『運動場』『体育館』となっている。ちなみに正門から左手にあるのが男子寮だ。
「思っていたよりもきれいだな」
学生寮は、ほとんど平民が使うという話だったので大したことない建物かと思っていたが、普通にしっかりとした作りの清潔な建物だった。
ちなみに、学園にいる間はこの学生寮は寮費や食事代もタダとのこと。⋯⋯何とも太っ腹である。
入口を入ると、おじいさんが出迎えてくれた。
「こ、こんにちは」
「わしがこの学園寮の寮長じゃ。話は聞いておる。お前さんの部屋は1階の奥になる⋯⋯ついてこい」
そう言って、おじいさん寮長に案内され部屋へと向かった。
「へ〜、部屋⋯⋯結構広いんですね」
「本来は二人部屋なんじゃが、急だったんでここは一人で使ってよいぞ」
「ありがとうございます」
その後、寮の門限やらルールについて軽く説明された。
「他にわからないことがあったら気軽に声をかけなさい。入口のところにあった部屋がわしの部屋じゃから」
「は、はい、ありがとうございます」
********************
「⋯⋯さてと、とりあえず入学初日が終わったか」
俺はとりあえずベッドに横になると今日のことを振り返った。
「う〜ん、教室でのあのケイティ先生へのアプローチは成功だっただろうか⋯⋯。午後の授業では一切目を合わせてくれなかったよな〜」
そう、午後の授業ではケイティ先生からだいぶ避けられていたのだ。
「ま、まあ、まだ入学初日だし⋯⋯⋯⋯何とかなるだろ!」
俺は答えの出ない問題を頭の隅に放り投げて風呂場へと向かった。
さ〜て、お風呂入ってサッパリしよっと!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯あれ? 何か忘れているような?
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